統計調査に踊らされる人は「疑い方」を知らない 誰が誰に調査したか、理にかなうのかを考えよ
たとえば、「イギリスでは年間420億本の使い捨てのプラスチックストローが消費されているからエコのためにプラスチックストロー消費を抑えるべきだ」という報道がありました。
プラスチックストローの消費を抑えることがエコにつながるのは間違いないでしょうし、この報道に疑わしい点はないように思えます。
しかし、その論を補強する「420億本」という数字には問題があります。この数字は、イギリス国民全員が、1年間毎日欠かさず2本ずつ使い捨てのプラスチックストローを消費して、やっと届くかという数字、つまり、明らかにおかしな、過度に誇張された数字だったのです。
このような、論拠となる統計データや数字がコントロールされている例は日本国内でも枚挙にいとまがありません。
情報の受け手として、事実を正しく認識することの大切さは言うまでもありませんが、SNSなどで自分が受けた情報についてコメントをするような方は一層慎重に数字を見るべきです。万が一、フェイクニュースやコントロールされた数字に依拠した意見を発信してしまうということがあれば、それは自身が「情報の真贋を見極める力のない人間である」ことを世界に表明することにほかなりません。
そうならないためにも、すべてに先立つ大切なことが、「これは真実だとしたら理にかなっているだろうか」という問いかけを常にもつことです。
数字に騙されないといっても、ではどの数字が疑わしいのかを見つけなければいけません。そのために先の問いかけが役に立ちます。
数字の疑い方
よく目にする数字に「満足度○○%」だとか、「20代女性は△△を1日平均××時間使っている」などといったものがあります。あからさまに都合のよすぎる数字が提示されていることもあれば、巧妙にコントロールされた数字もあります。当然、中には正しい(と思われる)数字の場合もありますが、特に「アンケート調査」などをもとに提示された数字は疑ってかかるのが良いでしょう。(その数字がどのように算出されたのかを明示していない場合は言うまでもありません)。
その際に見るべきポイントは大きく5つ。「調査はどこから出たものか」「調査ではどのような質問がされたのか」「何人の人が質問されたのか」「彼らは質問するのにふさわしい人たちか」「その組織は結果に基づいた理にかなった主張をしているか」です。
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