激増「在宅勤務疲れ」を予防する5つのコツ 在宅勤務8年の筆者はこうして心身を整える

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3つ目は、自分で時間割を作って、それを守ることです。私の場合は執筆が主な仕事ですが、それ以外に「データ収集とその読み込み」「資料作成」「考える」といった内容の作業を、時間を決めて行います。合間に「家事」や「昼寝」も入れます。会社であれば、これに会議や報告などが入ってくるでしょう。こういうさまざまな行動は、会社にいると上司から指示されて行うものです。それを家にいる間は、自分で決めて、自分に指示するのです。

4つ目は、夜は早く寝て、朝は日の出と共に起きることです。「在宅勤務」は生活パターンを変えるチャンスです。仕事の後、飲みに行くこともありませんから、家で食事をして早く寝る。そして朝は早く起きる、という朝型の生活スタイルに変えることが可能です。私も夜10時には寝るようにしていますが、朝は早く起きても通勤の必要がないので、仕事の効率が非常によくなります。

5つ目は、2時間おきに家の中でできる運動をすることです。私は、これを以前からやっています。デスクワークがずっと続くと、2時間おきにスクワットや腕立て伏せをするのです。最近ではラジオ体操も付け加えました。これは運動不足解消と気分転換の両方に効用があります。

「業務のマネジメント」を自分で行うことが大事

これらの5つの習慣は、私が長い間自宅で仕事をしてきたことによって次第に身に付いてきたものばかりなのですが、実をいうと私もサラリーマンを定年退職し、家で過ごし始めた頃、「在宅勤務疲れ」のような心理状態になったことがありました。長年サラリーマンをやっていると、自分では気づかないうちに「仕事は会社でやるもの」「家では休養するもの」という「仕分け」が心の中でできあがっているようです。

それまでの「家にいるモード」のまま仕事をする、それも今回のように一カ月近くも続くとストレスが溜まるのは、自然なことだと思います。さらに在宅勤務では多くの場合、前述のように行動計画や時間割を自分で決めなければなりません。ところがサラリーマンを長くやっていると、そういうことは上からの指示でやるものという習性が身に付いていますので、自分で合理的に計画を立てることがなかなかできないのです。

しかしながら今回のような“在宅勤務をやらざるをえない”という状況は、まさに働き方を変える大きなチャンスだと思います。それも、単にZoomで遠隔会議ができるとか、無駄な出張が減るという表面的なことが「働き方を変えること」ではありません。何よりも大切なのは、「業務のマネジメント」を自分の頭で考え、判断することが否応なしに求められるようになる、ということです。

そう、まさに5つのポイントの中では3つ目の自分で時間割を作って、それを守ることがいちばん重要なのです。いうまでもなく、組織の構成員一人ひとりが判断能力を持つことで生産性は向上します。それこそが「働き方改革」なのです。

紹介した5つのポイントを要約すれば、①普段の生活と変わらないスタイルで、②自分で業務の段取りを組み立て、③健康についての自己管理を行う、となります。いずれも当たり前のことですが、毎日、会社に行ってルーティンの仕事をしているだけではなかなか変えられないものばかりです。具体的な5つのポイントを実行することで、在宅勤務疲れを予防したり解消したりするだけでなく、仕事に対する行動変容のきっかけにもなるのではないでしょうか。

大江 英樹 経済コラムニスト、オフィス・リベルタス代表

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おおえ ひでき / Hideki Oe

大手証券会社で25年間にわたって個人の資産運用業務に従事。確定拠出年金ビジネスに携わってきた業界の草分け的存在。日本での導入第1号であるすかいらーくや、トヨタ自動車などの導入にあたりコンサルティングを担当。2003年から大手証券グループの確定拠出年金部長などを務める。独立後は「サラリーマンが退職後、幸せな生活を送れるよう支援する」という信念のもと、経済やおカネの知識を伝える活動を行う。CFP、日本証券アナリスト協会検定会員。主な著書に『自分で年金をつくる最高の方法』(日本地域社会研究所)、『知らないと損する 経済とおかねの超基本1年生』(東洋経済新報社)などがある。

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