中露北がサイバー攻撃で狙う「コロナ対応」情報 「治療やワクチン情報・政策」まで広く狙う

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新型コロナウイルスの情報を得ようと、犯罪者や国家が多くのサイバー攻撃を仕掛けている(写真:loops7/iStock)

4月8日、アメリカとイギリス両政府は、サイバー攻撃の最新情勢に関する共同報告書を発表し、新型コロナウイルス感染拡大に乗じて、犯罪者や国家が多くのサイバー攻撃を仕掛けていると注意喚起した。

攻撃者は、「新型コロナウイルスに関する最新情報」「お住まいの都市における新たな感染者について」など、この感染症に関する件名を使ったなりすましメールやショートメッセージを送りつけて、相手の注意を引き、添付をクリックさせる。

犯罪者は金銭目的でサイバー攻撃を行う。一方、国家は機密情報を盗み、あるいは盗んだ情報をあえて漏洩させるにせよ、長期的な国家戦略に基づきサイバー攻撃の目的と対象を選ぶ。アメリカ政府は、以前からサイバー攻撃能力を持つ国としてイラン、北朝鮮、中国、ロシアを名指しし、警戒している。

他国のコロナ対応関連情報を盗む政府系ハッカー

政府系ハッカー集団が最近とくに関心を寄せているのは、ワクチン開発を含め、他国の新型コロナウイルス対応に関する最新情報だ。具体的には、数理モデルを分析する研究機関、公共政策を提案する人々、政府に助言している科学者などを狙う。4月9日付のオンライン版フィナンシャル・タイムズ紙で、匿名の政府関係者が見解を述べた。

米連邦捜査局(FBI)サイバーセキュリティ部門の幹部トーニャ・ユーゴレッツも、新型コロナウイルスの治療法やワクチン開発に取り組む研究機関や企業が、外国政府からサイバー攻撃を受け、知的財産が盗まれていると警鐘を鳴らしている。攻撃している国の名は公表しなかった。4月16日、米シンクタンクのアスペン研究所が主催したオンライン会議「新型コロナウイルスに乗じたサイバー攻撃とどう戦うべきか」で明らかにした。

ユーゴレッツによると、外国の政府系ハッカー集団は、従来バイオテクノロジーを狙う。新型コロナウイルス関連の研究について公表している機関や企業は狙われやすいとして、注意を呼びかけた。

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