実際に320d xDriveを駆って、ときおり暴風雨に見舞われた中を1000kmほどドライブしたときには、スタビリティが高く安定したグリップのおかげでなんら不安に感じることなく走ることができた。疲労感も小さくて済み、そのありがたみを大いに実感した次第である。
一方、6気筒エンジンを搭載する高性能版については、従来のF3#型では「340i」という標準モデルの上級機種として設定されており、駆動方式も2WDだった。これが新型では、標準モデルと「M3」など別格のMモデルとの中間的な位置づけに。「M340i xDrive」として、公道での実用性とサーキットでの走りを両立させたMパフォーマンスモデルの一員となった。
エンジンが3.0リッター直列6気筒直噴ターボである点は不変ながら、スペックが大幅に向上しており、こちらも「高性能をより不安なく楽しめるように」とAWDとされた。
また、320iのエンジンが330i用をECUでデチューンしたものから本来の仕様に変更された。これは、もともとグローバルでは少し遅れて320iの生産がスタートし、2.0リッターで直列4気筒である点は330iと共通でも内容の異なる専用のエンジンが用意される予定だったところ、販売価格を抑えた買い求めやすい320iを日本向けに最初からラインナップしておきたいという前出の商品担当氏の要望を本国BMWが受け入れ、330i用を流用するという手法をとったからだ。
乗り心地は、導入当初の個体こそコツコツとした硬さが気になったが、ほどなく改善されて快適になった。とはいえ、まだ硬さを感じなくもないので、もう少ししなやかになるとなおよい。
5シリーズとのカニバリと棲み分け
新型3シリーズはボディサイズがひとまわり大きくなり、ホイールベースが40mmも拡大されて後席の居住性も向上、見た目の高級感も増した。そのため、「5シリーズ」とのカニバリも起こったようで、3シリーズの販売台数の増加とリンクして5シリーズの販売台数がやや減少しているとの情報も耳にした。
しかし、そうなるのも無理はないと思えるほど、これまで5シリーズを愛用していた人でも不満を覚えないであろう居住性と視覚的なクオリティをG2#型3シリーズは身につけている。
エンジンに注目してみると、ガソリンとディーゼルの販売比率は、5シリーズではガソリンが圧倒的に高かったのに対し、3シリーズはディーゼルの追加を心待ちにしていた人が大勢いたもようで、すでにガソリンより約5割増しの売れ行きを見せているという。5シリーズのユーザーが上質さを重視するのに対し、3シリーズを求めるユーザーの多くが経済性を重視していることが見て取れる。むろん、ディーゼルの出来もそれなりによいからこそ選ばれているのだ。
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