家で楽しく鉄分補給、鉄道各社「巣ごもり対策」 親子で遊べる特設サイトから専門情報まで

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子供向け、というより学生・大人向けとも言える内容では、JRや大手私鉄などで配布している「会社概要」や「会社要覧」がある。これは、各鉄道事業者が自社の事業内容をまとめて冊子にしたもので、インターネットがなかった頃は紙媒体しかなく、問い合わせをして入手したり、問い合わせても配布を断られてしまったりすることもあったが、最近では鉄道事業者のホームページで閲覧やダウンロードができるようになり、障壁が低くなった。

これも、会社の売上や鉄道以外の事業展開といった内容のほか、鉄道事業はどれくらいの規模で、どんな設備を持っているのか?、という基本的な内容がまとめられているが、当然ながらわからない事だらけになるだろう。用語を拾って検索して理解ができるまでに相当な時間を費やしてしまうが、自宅に籠もって学ぶには格好の教材なのかもしれない。

「会社概要」「会社要覧」のように、消化不良になりそうな内容でなくても、沿革といった歴史については、先の京浜急行のように、手軽にまとめている事業者が多い。

例えば近鉄(近畿日本鉄道)では、現在の会社が成り立つまでに約20の会社が関わっていて、会社の名前だけ挙げられても消化不良になりそうだが、「近鉄資料館」というページにある「路線の履歴書」では近鉄で25もある路線の歴史を簡単に知ることができる。

子供向けのサイトと同じく、こちらも鉄道事業者のトップページから行き着くのが難しく、鉄道事業者の名前にスペースを加えて「沿革」や「歴史」を入れて検索したほうがヒットしやすい。

手軽に見られる動画

ホームページで文字を追う内容のほか、最近ではYouTubeによる動画配信を行っている鉄道事業者も多いが、これも事業者によって大きく差がある。動画の内容が充実しているのはJR東日本やJR西日本、東京都交通局で、配信している動画も数多くあり、チャンネル登録者の数も動画の数や内容に比例している。大半がコマーシャルの要素だが、東京都交通局では全線が地下の大江戸線に新型車両を搬入する動画や、近鉄では新型名阪特急「ひのとり」や観光特急「青の交響曲(シンフォニー)」のメイキング動画、日本通運の「物流アーカイブス」では昔の貨物列車・貨物輸送の動画を公開しているなど、意外な掘り出し物がある。

残念ながら、新型コロナウィルスの影響は長期化が避けられない状況で、多くの人が自宅待機という「巣ごもり」の状態を強いられている。ただ、幸いなことに情報の入手が途絶する状況でもなく、ここで紹介した内容を活用・応用して「巣ごもり」を少しでも充実した時間にできればと思う。

柴田 東吾 鉄道趣味ライター

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しばた とうご / Tougo Shibata

1974年東京都生まれ。大学の電気工学科を卒業後、信号機器メーカー、鉄道会社勤務等を経て、現在フリー。JR・私鉄路線は一通り踏破したが、2019年に沖縄モノレール「ゆいレール」が延伸して返上、現在は車両研究が主力で、技術・形態・運用・保守・転配・履歴等の研究を行う。『Rail Magazine』(ネコ・パブリッシング)や『鉄道ジャーナル』など、寄稿多数。

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