今なお船内にいる「クルーズ船乗組員」の悪夢 何千人もが帰国手段なく取り残されている
「パームビーチからマイアミまで、南フロリダ沖合には多数のクルーズ船が停泊している。これまでは大丈夫だったが、時間の問題だ。永遠にその場所にとどまることはできない」とハワードは語る。
同氏はエチオピア航空のチャーター機手配を支援し、クルーズ大手カーニバルの船から少なくとも2500人の乗組員を空路でマイアミから脱出させた。また、小型の連絡船でクルーズ船から下船してもらい、バスで空港の駐機場まで直行し、ターミナルに入ることなく本国に送還する方法も取ったという。
帰宅手段が見つからなければ当分船内に
クルーズライン国際協会のブライアン・サレルノ海運政策上級バイスプレジデントは、乗組員の生活環境は十分に維持されており、医療スタッフも乗船していると述べた。
サレルノは3月のインタビューで「船が停泊したままであるため、多くの乗組員は帰宅を望んでいる。しかし、一部には外国から感染症が流入するのを恐れて自国民の帰国すら渋っている国もある」と語った。「乗組員が船内にとどまっていれば、(クルーズ)会社が当然、彼らの面倒をみることになる。帰宅手段が見つからなければ、乗組員の多くが船内にとどまることになるだろう」
一方、ネデルチェヴァの代理人を務めるマイケル・ウィンクルマン弁護士は、深刻なパンデミックに対し、クルーズ会社の対応が遅すぎたと話す。
「乗組員にとっては、いろいろな意味で悪夢だ」とウィンクルマン弁護士は語った。「検査で陽性となった乗組員さえ医療を受けられず、最新の情報も伝えられない。彼らは、地球の反対側にいて、家族から遠く離れている。隔離されていて、孤独だ。船内の士気はものすごく落ちている」
カーニバルで広報を担当するロジャー・フリッツェルによれば、同社は乗組員を帰宅させるために数機のチャーター機を手配することができていたが、それも「日に日に難しくなってきている」。何千人もの乗組員が海上に取り残されているそうだ。
「当社にとっては経験したことのない試練だ」とフリッツェルは語った。「港の封鎖や渡航制限が事態を極めて難しくしている。打つ手がまったくない場合もある」という。
(執筆:Frances Robles記者)
(C) 2020 The New York Times News Services
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