政府の遅いコロナ対応に「IT化」が不可欠な理由 「緊急事態宣言」が出てから混乱を極めている

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補正予算の国会成立は4月24日の見込みだが、これではいかにも遅い。

例えば、アメリカ。どの程度のスピード感で予算措置を実現させたかといえば、トランプ大統領が非常事態宣言を出したのが3月13日。その2週間後の3月27日に2兆2000億ドル(240兆円)の予算案が議会を通り、大統領署名に至っている。

一方、我が国の政府はどうか。政府が新型コロナ対策の補正予算案の検討を始めたのは、3月11日の自公会談以降である。それまで新型インフルエンザ等対策特別措置法の改正に集中していたため、この日が初動となったようであるが、それからほぼ1カ月が経過して、ようやく緊急経済対策の閣議決定、国会成立が4月24日では遅すぎるという批判は免れまい。これでは平時の対応である。

中小企業への一刻も早い支援を

雇用の場を守るためには、中小企業の資金繰りを支援することが最重要であると筆者は考えている。

政府の中小企業への資金繰り支援策は、日本政策金融公庫の無利子融資と信用保証協会の100%保証などだ。しかし、3月以降に申請が殺到し、申し込まれた21万件のうち、融資を承諾したのは12万件にとどまっているという(4月10日付の日本経済新聞より)。申込書の記入、確定申告書の提出、登記簿謄本の提出、面談などの数々の手続きが必要となるため、窓口が混雑し、融資を受けられるのは連休明けになることも見込まれている。

海外の支援策はどうか。スイスでは、簡単な書類に必要事項を記入しメールで銀行に送れば原則数時間以内に振り込みが行われるという。アメリカでは、中小企業向けに3500億ドル(38兆円)の枠で従業員らの給与を肩代わりする仕組みが作られ、3日に受け付けを始めている。

各国が簡易でスピーディーな緊急対応を取っているにもかかわらず、我が国政府の対応は日本政策金融公庫や信用保証協会を経由した平時の融資実行と変わらない印象を受ける。

このままでは、コロナショックの影響を受けた中小企業が資金繰り破たんする恐れがある。

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