視覚障がい者に光を与えた父子の凄い就労支援 NPO法人六星・ウイズが働く場を提供する理由

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視覚障がい者が働く様子(写真:六星・ウイズ提供)  
経営学者である坂本光司氏の40年以上にわたる企業の現場研究から見つけ出した、中小・中堅、また地方の企業であっても数々の困難を越えてきた会社・団体は、必ずと言っていいほど「人を幸せにする経営」を行っています。今回は、NPO法人の六星・ウイズ(静岡県浜松市)を『日本でいちばん大切にしたい会社7』より紹介します。

全国には937万人の障がいのある方が暮らしているが、中でも特に苛酷な状態に置かれているのが、全国に32万人いる視覚障がい者である。

民間企業に就労している視覚障がい者は、1万9000人。視覚障がい者全体のわずか6%にすぎない。かつては、鍼治療やあんまやお灸で生計をたてる視覚障がい者も多かったが、この分野にも健常者が押し寄せ、働く場はどんどん狭くなっている。

こうした現状を見かねて立ち上がったのが、静岡県浜松市にある事業所、NPO法人の六星・ウイズである。六星・ウイズは、浜松市内に「ウイズ半田」と「ウイズ蜆塚」の2カ所の拠点をもち、現在では49名の視覚障がい者と、13名の職員が働いている、わが国では稀有な視覚障がい者の就労支援施設となっている。

視覚障がい者のための折りたためる杖

現在の理事長である斯波千秋氏の父である穏(やすし)氏は、尋常高等小学校を卒業後15歳で日本でも有数の自動車修理工場「アート商会」に丁稚小僧として入った。そこで一緒になったのが、ホンダを創業した本田宗一郎氏だった。

戦後、本田宗一郎氏はアート商会から独立し、故郷の浜松に会社を立ち上げる。その創業メンバーとして呼ばれた穏氏がある時、本田宗一郎と仕事で泊まった旅館であんまさんを呼んだ。

宗一郎氏と穏氏が体をもまれながら話していると、あんまさんが、「私たちは竹の長い棒を杖代わりにして歩いているけれど、折りたためないので邪魔になる。もっと小さくできる杖はできないものだろうか」と言う。

2人は翌朝、竹の釣り竿を買ってきて、折りたためる杖をつくった。それを翌日あんまさんに渡すと、涙を流して感謝されたという。

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