インド「コロナで理性失う市民」の常軌逸す言動

感染者への嫌がらせや特定、デマが横行

新型コロナウイルスに感染し死亡したサミル・クマル・ミトラさんの遺体が運ばれたコルカタの火葬場。27日撮影(2020年 ロイター/Rupak De Chowdhuri)

[ニューデリー/コルカタ 29日 ロイター] - 米フィラデルフィアの大学院生、サトヤキ・ミトラさん(27)は今月半ば、インド東部のコルカタに住む父親(57)から微熱があると告げられたが、特に心配はせず、新型コロナウイルスの検査を受けるよう伝えた。

最初の検査は陰性だったが、父親サミル・クマル・ミトラさんの容態は徐々に悪化。次の検査で陽性となった2日後の23日に死亡し、家族を悲しみに突き落とした。

同時にコルカタ市民から湧き起こった罵詈(ばり)雑言の嵐に、サトヤキさんはショックを受ける。

コルカタの街中では、ウイルスをまき散らすとしてサミルさんの火葬をやめるよう求める群衆と警察が何時間も衝突。フェイスブックに残ったサミルさんのアカウントには、彼が息子とその米国人の妻に会って死のウイルスをコルカタに持ち込んだとの批判が書き込まれた。

「彼のようなやつらのせいでコロナウイルスがやってきた。やつらを銃殺しろ」──。サミルさんと家族のプロフィール写真の下に記されたメッセージだ。

しかし、実際にはサトヤキさんは昨年7月以来、帰省はしていないという。

ソーシャルメディアでは、感染拡大が深刻なイタリアにサミルさんや家族が旅行していたという書き込みもあったが、サミルさんの同僚やサトヤキさんによると、海外旅行をしたという事実はない。

こうした事態が起きているのはコルカタだけではなさそうだ。群衆が医師や航空機の乗務員など、ウイルスを持っていると疑った人々に嫌がらせをしているとの報道は国内各地で出ている。

過去数年の暴動頻発で民衆は疑心暗鬼に

インドではかねて、イスラム系住民とヒンズー系住民の間で過去数年で最悪の暴動が頻発し、フェイクニュースなどがそれを助長している。この国で厳しい批判やデマが広がると、民衆は容易に妄想にとらわれて理性を失い、暴動にまで発展し得ることが浮き彫りになった。政府のコロナ危機対応も複雑さを増しそうだ。

インド全土は21日間のロックダウン(封鎖)に入っている。これまでのところ他の大国に比べ、新型コロナの感染確認者数と死亡者数は少ないが、専門家と一部高官は、今後急増しかねないと懸念している。

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