国民との対話で合意形成、骨太2006の旗は降ろさない 伊藤達也首相補佐官
日本の経済財政運営のあり方、特に中期的な運営のあり方が問われていることを認識する必要がある。その中で持続可能で競争力のある豊かな国をつくり上げていかなければならない。その具体化のために、経済財政の一体改革、別名では日本版上げ潮政策と称されるものが政府与党の議論を通じて決定された。そのことをきちんと踏まえるべきです。
骨太方針2006の考え方が目指すものは、日本のリスクプレミアムをカサ上げさせない、つまり財政規律を堅持しつつ、日本の潜在成長率に近い形での経済成長の達成を実現しようというものです。その中で欧米と同レベルの3~4%成長を軌道に乗せていく。このような成長戦略の強化が第1の柱です。
経済成長戦略が大事、国民と双方向で対話
そして第2の柱が行政のムダの排除であり、5年間で11・4兆~14・3兆円の歳出削減が打ち出されている。さらに第3の柱として、埋蔵金という言葉が適切かどうかは別としても、700兆円にも膨らんでいる政府の資産・負債の圧縮を進めていく。さらにこれら三つの柱については、毎年ローリングして進捗状況を確認していくことが大事です。
--社会保障については、2番目の柱である歳出改革ととりわけリンクしてきますね。
それだけではなくて、プライマリーバランスの黒字化のためには、日本がどのように成長を実現していくかがきわめて重要だと思います。EU加盟国が2000年に「リスボン戦略」を採択し、10年間にわたる経済成長戦略を打ち出したことにも学ぶべきです。EUではグローバル化に正面から向き合うべく、社会保障制度についても経済財政政策やマクロ経済政策の中に重ね合わせてあるべき姿を目指している。日本はEU以上の努力が必要であり、部分的な歳出改革だけで解決できる問題ではない。もっと多角的な視点から、改革の構想を組み立てて、実現していくことが必要だと思います。
--その意味では、社会保障の給付と負担の関係についての議論だけでは不十分かもしれない。その一方で、社会保障国民会議には明確な方向性を示してほしいという期待もある。はたして両論併記のような形で終わってしまうのか、あるいはかなり明確に政策の方向性を示していきますか。
議論がスタートしたばかりなので、まだお話しできる状況にはありません。総理の指示を受けながら対応していかなければならないと思っています。その前提のうえで、国民の方々にまず実態を知っていただくことがきわめて重要だと考えている。そのためにも、社会保障制度や運用の実態を十分に検証していく。