東急責任者が語る、伊豆「観光型MaaS」の儲け方 「単独では儲からない」が、ビジネスになる
3月10日、日本初の「観光型MaaS」(マース)の1年間にわたる伊豆半島での実証実験が終わった。
MaaS(Mobility as a Service)は、一般に「マイカー以外の交通手段を事業主体の別なくICT(情報通信技術)などを使って1つのサービスとして結びつけ、シームレスな交通サービスを提供する概念」と定義される。
今回の実証実験では、東急、JR東日本、ジェイアール東日本企画が中心となり、「Izuko」(イズコ)というサービスを開発。一定区間の電車・バスが乗り放題になるデジタルフリーパスの販売のほか、観光施設の割引チケットや、レンタカー・レンタサイクルの予約・決済などをスマートフォン上で一括してできるサービスを提供した。
実験はフェーズ1(2019年4月1日~6月30日)、フェーズ2(2019年12月1日~2020年3月10日)の2期に分けて実施し、伊豆急行、伊豆箱根鉄道、東海バスなど地元の交通事業者や観光施設が参加した。
「日本にMaaSは必要なのか」
実証実験終了後、東急の交通インフラ事業部課長で、今回の実証実験の責任者である森田創氏は「実は、日本ではMaaSなど必要ないのではないかと悩んだ時期が長かった」と打ち明けた。
MaaS発祥の地であるフィンランドの首都・ヘルシンキでは、移動における自家用車の利用率が異常に高かったが、MaaS導入により自家用車利用が大幅に減ったというレポートがある。しかし、日本ではそもそも、東京など都市部での自家用車利用率は高くない。つまり、都市部における自家用車利用の削減は、日本におけるMaaS導入の目的にはなりにくい。
また、サービスのデジタル化についても「日本ほどいい意味で人の心に触れるアナログサービスが充実している国はない。少なくとも現時点においては、サービスをスマホでの処理にむりやり誘導する意味はない」と森田氏はいう。
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