あのベンツが「立ち食いそば屋」とコラボのなぜ メルセデス日本社長が明かすブランド戦略

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――その効果は出ていますか。

欲しいと言ってくださる方を販売店へ紹介などもしているが、数字の上で何台販売につながったかは評価が難しく出していない。とはいえ、Aクラスの効果もあって50代、60代が多かった購買層の年齢は確実に下がってきた。販売店の人がお客さんと来ることもある。地方からわざわざ出てきてという話も聞く。最近はほかの輸入車メーカーも似たコンセプトのお店を増やしてきている。

あくまで販売店を紹介するだけ

――今後の展望について教えてください。

今国内でベンツの保有は約76万台、みなさんが10年に1度乗り換えてくだされば7万6000台は売れる計算だ。ただ、実際はそう簡単ではない。車は1台1台、地道に売っていくしかない。新車が出た年は多少、客さんのほうから来てくれるが……。

メルセデス・ベンツ日本の上野金太郎社長。2013年社長就任。初の日本人社長で、在任7年は異例の長さだ(記者撮影)

Mercedes meが押し売りをしていると言われてしまうと本末転倒なので、欲しいというお客さんに販売店を紹介するだけ、これがとても大事。久しぶりに販売店に行くとどこかよそよそしいし、店員も変わっていることも。行ったことがない方なら場所も知らない。そこで予約を取って販売店に行ってもらう。

初めてでもいつ行けばいいか、誰に会えばいいかわかっているので入りやすい。お客さんが求めているものや、欲しい車も共有できていれば話もスムーズに進む。ノーアポだと対応できずに機会損失になることもあるし。販売店とも協力してその辺のシステムをうまく作りたいと思っている。

中野 大樹 東洋経済 記者

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なかの たいじゅ / Taiju Nakano

大阪府出身。早稲田大学法学部卒。副専攻として同大学でジャーナリズムを修了。学生時代リユース業界専門新聞の「リサイクル通信」・地域メディアの「高田馬場新聞」で、リユース業界や地域の居酒屋を取材。無人島研究会に所属していた。趣味は飲み歩きと読書、アウトドア、離島。コンビニ業界を担当。

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