日本人の心をつかんだ「台湾・卓武珈琲」の秘密 標高1200mで栽培、こだわりの精製が大人気

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コーヒー豆を焙煎する許峻栄さん(写真:陳弘岱)

台湾中部に位置する阿里山の名を聞けば、どんなことが浮かぶだろうか。ウーロン茶である阿里山高山茶や鉄道ファンに人気の阿里山鉄道、樹齢3000年を超える神木といったものが思い浮かぶだろう。

ところが、阿里山は「台湾一のコーヒー豆の産地」でもある。作付面積だけでなく、生産量も台湾ナンバーワンだ。そしていま、日本のコーヒー愛好家から「ジャマイカのブルーマウンテンにも匹敵する豆の産地」と評価されるようになっている。

阿里山でコーヒー豆栽培の達人と言えば、代表的な人物が2人いる。そのうちの1人が、今回紹介する『卓武珈琲』の許峻栄(きょ・しゅんえい)氏だ。東京で人気の自家焙煎コーヒーショップ『LIGHT UP COFFEE』の担当者は、彼のコーヒー豆を求めて年に3回も訪台し、1キロ当たり2000台湾ドル(約7200円)の豆を毎回300キロ購入するという。

それだけでない。LIGHT UP COFFEEは卓武珈琲でのコーヒー豆の収穫から精製までの過程を収めたドキュメンタリー映像を制作したほどだ。

日本人の心をつかんだコーヒー豆

台湾高速鉄道(新幹線)の嘉義駅を降り、産業道路に沿って進むと、地面はアスファルトから土がむきだしの道へ変わっていく。日本による植民地時代、一大治水事業を台湾で完成させた日本人技師・八田與一により建設が考えられたという曽文ダムに沿って、曲がりくねった山道を車で1時間半ほど進むと、阿里山山脈に属する卓武山だ。

そこからさらに村のある山頂へ向かい、道の両脇に立ち並ぶコーヒー並木を通り抜けると、ようやく人家が見えてくる。ここが卓武珈琲である。

ドアの前に山積みされた、「日光浴中」のコーヒー豆。この卓武珈琲の農園で栽培されているコーヒー豆は、台北の人気カフェや香港や日本のコーヒー愛好家から高く評価されている。それを裏付けるように、壁はさまざまな賞のメダルでいっぱいだ。今でこそ台湾で名を馳せる卓武珈琲だが、その歴史はかなり異色だ。

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