N700Sは外からは見えにくい場所に最先端の技術が詰まっている。パンタグラフから取り入れた電力をモーターに供給する「主変換装置」には高速鉄道で世界初となるSiC(炭化ケイ素)素子を採用。発熱が少ないため冷却機構も簡素化できた。N700系の初期車よりも幅寸法を半分以下に減らせ、主変圧器やモーターを含めた駆動システム全体で編成当たり約10トンの軽量化を可能にした。
足元に詰まった最新の技術
車両の機器配置の制約が緩和されたことで、16両編成の基本設計のまま、12両や8両などに編成の長さが変えられる「標準車両」が実現する。また、軽量化と床下の省スペース化によって、これも高速鉄道で世界初という「バッテリー自走システム」が搭載可能になった。このシステムによって停電時でも自力で安全な場所まで移動することができる。
台車部分では、電磁石を従来の4極から6極に増やしてコンパクトになった駆動モーターを使用。モーターの小型・軽量化によって台車にさまざまな新技術を盛り込めるようになった。
モーターの回転力を車輪に伝達する歯車には2方向の歯を組み合わせた「ヤマバ歯車」を採用。ヤマバ歯車も新幹線の営業車両に使うのは初めてだ。担当者は「かみ合いが滑らかになることで振動や騒音が小さくなるうえ、歯と歯の間で負荷が相殺されるため軸受けが長持ちする」とメリットを説明する。
新幹線「N700S」量産車
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エッジの立った鼻先が特徴のN700S
(撮影:梅谷秀司)
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ヘッドライトには新幹線で初めてLEDを採用した
(撮影:梅谷秀司)
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N700Sは先頭部側面に青ラインが1本加わった
(撮影:梅谷秀司)
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青ラインが3本入る運転席付近
(撮影:梅谷秀司)
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量産車第1号を示す「J1」編成の文字
(撮影:梅谷秀司)
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複雑な曲面を描く先頭のドア部分
(撮影:梅谷秀司)
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複雑な曲面を描く先頭部
(撮影:梅谷秀司)
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側面のロゴは確認試験車とは彩度が違うという
(撮影:梅谷秀司)
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営業運転中は見られない連結面
(撮影:梅谷秀司)
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小型化された主変換装置
(撮影:梅谷秀司)
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SiC素子使用の主変換装置について説明する担当者
(撮影:梅谷秀司)
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主変換装置はN700系初期車より55%小型化した
(撮影:梅谷秀司)
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自走用のバッテリー装置
(撮影:梅谷秀司)
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自走用のバッテリー装置
(撮影:梅谷秀司)
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自走用バッテリーのモジュール
(撮影:梅谷秀司)
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バッテリーモジュールにはこの電池が24個入っている
(撮影:梅谷秀司)
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大幅に軽量化された台車
(撮影:梅谷秀司)
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モーターと車軸には「ヤマバ歯車」を採用した
(撮影:梅谷秀司)
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車輪手前の部分が歯車を覆うケースだ
(撮影:梅谷秀司)
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ブレーキ装置は長寿命化を図った
(撮影:梅谷秀司)
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フルアクティブ制振制御システムのダンパー部分
(撮影:梅谷秀司)
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陸送に向けクレーンで吊り上げられる先頭車両
(撮影:梅谷秀司)
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陸送に向けクレーンで吊り上げられる先頭車両
(撮影:梅谷秀司)
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陸送に向けクレーンで吊り上げられる先頭車両
(撮影:梅谷秀司)
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陸送に向けクレーンで吊り上げられる先頭車両
(撮影:梅谷秀司)
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陸送用の台車に載ったN700S量産車の先頭車
(撮影:梅谷秀司)
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搬出されるN700S量産車の先頭車
(撮影:梅谷秀司)
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搬出されるN700S量産車の中間車
(撮影:梅谷秀司)
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