「インフル特効薬」急落で塩野義が迎える正念場 「ゾフルーザ」を耐性ウイルス問題が直撃
感染症の治療薬で国内首位の塩野義製薬が、期待の新薬「ゾフルーザ」の急失速に揺れている。
塩野義は2月3日、2020年3月期第3四半期の決算の発表と同時に、通期の業績予想を下方修正した。売上高を従来予想比120億円減の3550億円(前期比2.4%減)に、営業利益を同85億円減の1415億円(同2.1%増)に引き下げた。
誤算は売り上げが96%減の「ゾフルーザ」
誤算だったのが、インフルエンザ治療薬「ゾフルーザ」だ。第3四半期(2019年4~12月)の売上高が前年同期比でなんと96%も減少し、3.8億円にとどまった。280億円だった通期の売上高予想を180億円へ大きく下げざるをえなかった。
ゾフルーザの発売は2018年3月。「タミフル」など従来のインフル薬とは作用メカニズムが異なり、1回1錠飲めば治療が済むという使いやすさや治療効果が高いことから、医療現場で急速に浸透した。
発売後初めてのインフルエンザ流行シーズンとなった2018年10月から2019年3月にかけての昨シーズンは、既存薬を押しのけ、インフルエンザ薬でいきなり4割を超えるシェアを獲得。一躍首位に立った。2019年3月期にはゾフルーザだけで263億円を売り上げ、塩野義が最高益を更新する立役者になった。
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