相次ぐ業績の修正、遠ざかる「工作機械」底入れ ファナックは利益半減、貿易摩擦影響長引く

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工作機械大手の牧野フライス製作所は、2020年3月期の業績予想を2019年7月に続いて再度引き下げ、売上高を前期比20.4%減の1630億円、営業利益を同83.1%減の35億円とした。2019年12月までの受注高はアメリカを除く全地域で前年を下回り、商談の延期や中止、新規案件の減少傾向が続いている。

オークマも2019年4~12月の受注高は前年同期比で35.4%減少しており、10月に下方修正した2020年3月期の売上高は前期比19.7%減の1700億円、営業利益は同41.3%の162億円の見込みだ。三菱電機もFAシステム事業や自動車機器事業からなる産業メカトロニクス部門の売上高、営業利益の2020年3月期計画値を引き下げた。

2018年は空前の活況だった

工作機械は、スマートフォンや家電、自動車などあらゆる製品の部品を加工する機械で、「機械を作る機械」であることから「マザーマシン」と呼ばれる。受注から納品まで3~6カ月かかることが多く、工作機械の受注規模は景気先行指標として知られている。景気を反映してすぐに受注が反応するため、ジェットコースターのように激しく増減するのが特徴だ。

実際、2018年夏までの工作機械業界は空前の活況を呈していた。自動車やスマホ、半導体などの受注が拡大し、日系メーカーの年間工作機械受注総額は2018年に過去最高の1兆8157億円を記録し、部品の調達難が起きるほどだった。

しかし、米中貿易摩擦が本格化した2018年秋頃から中国の景況感が悪化。対米輸出関税引き上げを懸念した中国の自動車メーカーや半導体装置メーカーが設備投資を控え始め、日系各社の工作機械受注も減速し始めた。受注総額の半分以上を占める外需は2018年8月に1年9カ月ぶりに前年同月を下回った。

2018年末には内需の減速も明らかになったが、当時は半導体業界の設備投資需要や中国の景気刺激策によって受注は年内に回復するという見方が強かった。しかし、2019年5月にアメリカのトランプ大統領がツイッターで対中関税引き上げを表明。貿易交渉がさらに長引いたことで顧客の設備投資の最終決定が難しくなり、貿易摩擦の影響は業界で予想されていた以上に長期化している。

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