年収400万円の人が「労働から解放」される方法 じわじわ広がるFIREムーブメントの実際
当たり前のことだが、目標とする貯蓄額は家族の有無やリタイア後のライフスタイルによって大きな違いが出る。田舎で自給自足の生活をするのと都会で贅沢な暮らしを続けるのとでは、生活費に雲泥の差が出るのは自明だ。
そのため、リタイア後に毎年どれくらいの生活費が必要となるのかを把握することが最初のステップとなる。質素なライフスタイルを想定して毎年の生活費を抑えるほど、リタイアまでに貯める必要のある金額は少なくなり、目標額に到達するまでの期間も短くなる。
目標額を設定した後は、現時点の自分の純資産を把握する番だ。純資産とは貯金や不動産などの資産から、住宅ローンや自動車ローンなどの負債を差し引いた額だ。目標額からこの純資産のうち収入を生み出す投資資産を差し引いた金額が、あなたがこれからリタイアするまでに貯蓄する必要のある金額になる。
日々の支出を抑えるために、サバティエはお金を使うことに対してより意識を高く持ち、お金を使うということが自分の将来の自由な時間を差し出す行為に等しいということを認識すべきだと主張する。ただ、節約をやみくもに行っても気が滅入るだけでうまくいかないため、隅々まで細かな予算を立てるのではなく、三大支出とされる住居費、交通費、食費だけに集中して節約するよう提言する。
できるだけ早く経済的自立に到達するうえで最も大事なことは、収入を上げることだ。サバティエはまず、いま働いているフルタイムの仕事の福利厚生と給与を最大化したうえで、休日や隙間時間を利用して自分の特技を生かした副業を始めるべきだと推奨する。可能な限りの節約をし、収入を最大化した暁には、貯めたお金を長期的に年間7パーセントのリターンが期待できるアメリカ株式市場に投資するというのが資産運用における基本的な戦略となる。
年収400万円でもFIREは可能?
ここで注意しておきたいのは、FIREというのが極めて柔軟な概念であるということだ。30~40代で1億円以上の投資元本を貯めたうえで、完全に働くことを辞めて、自由な人生を送ることがFIREの唯一のやり方ではない。FIREコミュニティーの間では、リタイア後も自分の好きな副業を手がけたり(サイドFIREと呼ばれる)、パートタイムの仕事を続ける(バリスタFIREと呼ばれる)ことで、投資収益だけでは不足する収入を補うといったやり方も一般的だ。
通常は1年間の生活費を400万円とした場合、亡くなるまで投資収益だけで生活するにはその25倍、つまり1億円程度の投資元本が必要だと考えられている。ただ、思い切った節約や節税を行う、副業やパートタイムの仕事を続ける、準備により長い時間をかけるなどさまざまな工夫を凝らすことで、広義の経済的自立は平均的な収入の人でも十分に達成可能だ。
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