幼児の英語がたった1年で劇伸びする本質理由 ポイントは英語の"リズム回路“にあった

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赤ちゃんは生まれて半年から1年足らずで、母語の聞き取りができるようになります。同様に英語の入力も半年から1年ほど続けると、単語の切り出し能力を身につけます。私はその英語の聞き取り能力を「リズム回路」と呼んでいます。

私たちが英語を聞き取れない理由に、英語の音韻知識(音の仕組み=「リズム回路」)がない点が挙げられますが、幼児たちは英語を聞き流すことで、それを身につけます。

日本語には母音は5つしかありませんが、英語には短母音だけでも11あります。日本人は5つの母音の知識で英語の11の母音を聞き取ります。英語では意味が変わってしまう母音の差が、日本人の耳には区別されずに処理されてしまうのです。

しかし、幼児たちは1年も英語を耳にし続ければ、わざわざ教えなくても、日本語と違う英語の「リズム回路」を身につけてしまいます。日本語の5つの母音ではなく11の母音で英語を聞き取るようになるのです。

もちろん、これは幼児期にのみ適した方法で、大きくなってからたったの1年でリズム回路を身につけることはなかなかできません。

この聞き取りができるようになると、幼児は聞き取った「英単語(らしき音の塊)」を次々と記憶していきます。

この段階では「英単語(らしき音の塊)」に、まだ意味は付いていません。ママや家族が繰り返し口にする耳慣れた音の塊ですが、意味が付いていないことから、私はこれらを「仮語彙」と呼んでいます。

赤ちゃんは英語の「リズム回路」を身につけて英語を聞き取れるようになると、聞き取った英単語を次々に「仮語彙」として蓄積していくのです。

そのための英語環境を作る必要がありますが、母語獲得の環境を参考に入力量を決定していきます。

核家族に生まれた第一子が耳にする母語の音声量が大まかに言って1日90分相当の量です。もちろん、それよりも賑やかなご家庭もあれば、物静かなご両親もありますが、90分もあれば最低限の音声の入力は達成されます。英語音声のかけ流しは1日90分を目安にするといいでしょう。

音声をBGMのように控えめのボリュームでかけ流す

1日90分はトータルの時間ですので、三度三度の食事のたびに小まめに分割して流しても構いませんし、起き抜けにまとめて一気に90分流しても構いません。

ただし、かけ流しは生活の一部にする必要があるので、習慣づけしやすい時間帯を選び、日々の生活リズムに組み込む必要があります。夕方や夜は慌ただしいので、比較的余裕のある朝方がお勧めです。

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