叱れない上司は部下にどう注意すればいいのか 3つの心がけをすれば、部下は育成できる

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そんな現代の上司の背景を踏まえ、今回は「叱れない上司が叱らなくても部下を育成する方法」をお伝えします。

よくない叱り方~4つの問題~

叱らずに部下を育成する方法をお伝えする前に、よくやってしまう「よくない叱り方」と対策を紹介します。これを理解すると「正しい部下の育成方法」がより深く理解できるはずです。

<叱る際の悪い例>
① 「ダメな理由」を言わずに叱る
② 「行動」ではなく「マインド」を否定する
③ 「何度言ったらわかるんだ」と叱る
④ 「相手の成長」よりも「自分の怒りをぶつけたいだけ」になっている

では、事例としてわかりやすい「遅刻」をケースに1つずつ見ていきましょう。

① 「ダメな理由」を言わずに叱る

叱る側は「当たり前だと思っていること」ほど、実はダメな理由を省いてしまいます。遅刻がダメなのは当たり前のことですから、いちいち理由をつけないことが多いのですが、それが第1の問題です。

部下は、あなたが思っているほど遅刻を問題だと思っていないかもしれません。時間に遅れることによってどのくらい迷惑がかかっているのか、部下本人の評価がどう下がるのか、今後の仕事にどういう影響があるのか。こうしたことをあえて説明をしてみると、認識のズレを修正できます。

② 「行動」ではなく「マインド」を否定する

遅刻は時間に遅れたことが問題なのであって、時間に間に合うように「行動」を変えてもらえればいいのですが、ついつい、「遅刻をするという意識の低さ」「考え方の甘さ」といったマインドに焦点が当たりがちです。「遅刻してもいいと思っているんだろう?」「やる気あるの?」と、ついついマインドを責めてしまうのです。

しかし、人はマインドを否定されると、強い反発を覚えます。誰も遅刻をしようとしてする人はいません。「遅刻は悪いことだと理解してくれていると思うけど、遅れたらダメだ」というように、マインドは肯定し、行動だけを改善してもらうほうが、ムダな反発を生みません。マインドは否定しないことが重要です。

③ 「何度言ったらわかるんだ」と叱る

「何度言ったらわかるんだ」というのは、何度指摘しても相手の問題行動が改善しないと、つい言ってしまうセリフです。これは、気づかないうちに、部下ができないのは「覚えの悪い部下のせいだ」と責任を相手に押し付けてしまっている状態です。

オレはちゃんと教えている、オレは悪くない、という気持ちが漏れてしまっているのです。もちろん覚えの悪い部下もいるでしょうが、人には得意分野と苦手分野があるので、できるまで何度でも言う覚悟や度量が必要です。

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