ご相談の文中にもあったように、私は第2子を39歳ぎりぎりで妊娠し、40歳で出産しています。37歳のとき、流産も経験しました。その後は3年間近く不妊治療にチャレンジ。毎月毎月一喜一憂して、ようやく宿った命でした。そんな私ですが、実は、出生前診断を受けたのです。
昨今話題になっている新しい出生前診断の方法は世の中になく、行ったのは羊水検査。ある程度、子宮が大きくなってから、子宮に針を刺して羊水を取り、染色体を調べるあの検査です。
欲しくてたまらなかった第2子をようやく妊娠できたのに、なぜ検査したか。それは、きちんと準備したかったからでした。
100人に1人という、高い確率
年齢的に、染色体異常の子どもを授かる可能性は1%だと医師に言われました。100人にひとりの確率……。33歳で第1子を妊娠したときには確か360分の1程度と言われたと思います。6年でそれだけ確率が上がるのです。
当時は、出生前の確定診断の方法は羊水検査だけ。羊水検査は流産の危険もあるのに、ほんの数種類の障害しかわからない検査です。それでも検査を受けるのか。私は人間が出来ていないので、出産までの間、不安定になっている自分を思うと、それが耐えられなかったのです。そして、事前の診断でもし障害がわかったら、心づもりをきちんとして、その子を迎えられると思ったのでした。
知人は、出産した直後に、生まれたお子さんに障害があることを告げられたそうです。そのとき、彼女は混乱し、「今は抱けない。今だけ思い切り泣かせてください。」と言って大声でわんわん泣いたそうです。今はどこにでも連れていき、とてもいとおしそうにしていますが、「しばらくは誰にも出産を知られたくない気分だった」と打ち明けてくれました。
そのときのその心境、胸に迫るものがありました。私はその瞬間を乗り越えられる自信がどうしても持てなかった。だから事前に支度を整えたかったのです。
夫なりの覚悟
検査について、主人に相談したとき、彼は反対しませんでした。彼は私より7歳年上なので、「この子が20歳のとき、もう67歳だよ。とっくに定年になってるね」と、どちらかというと経済的なことを心配していて、この時期に会社を辞めて起業することを決めたようです。もちろんリスクは高いですが、サラリーマンでいるよりも自分のペースで長く働くことができますから、彼なりの高年齢パパとしての決意と覚悟だったのでしょう。
検査を受けられるのは妊娠16週を過ぎてからなので、もう周りに妊娠も知られている頃です。お腹も目立ち始める頃ですよね。検査を受ける前でしたが、主人に「検査の結果で赤ちゃんをあきらめたいと言い出したらどうする?」と聞いてみると、主人は「ありえるよね」としか言いませんでした。でも、「そうしろ」とも「必ず産め」とも言いませんでした。おかげで追いつめられるような気分にはならずに済んだのだと思います。後で聞くと、私が「あきらめたい」と言うとは思っていなかったそうですが。
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