日本人は外国人頼みの将来像をわかっていない 25年で2000万人が減る中で支え手になるのは

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そう言われると、「日本はまだまだ外国人が少ない」と思うかもしれません。しかし、日本にも外国人住民の割合が高い地域があります。

たとえば、日系ブラジル人などが多いことで知られる群馬県大泉町は、人口約4万2000人の街ですが、外国人の割合は約18%を占めます。カナダに近い数字です。また、カナダまでとはいかなくともヨーロッパ並みの数値を示す自治体は東京にもあります。

新宿です。新宿区の住民基本台帳によれば、2019年8月時点の総人口が34万0858人。そのうち外国人は4万3065人で、割合は12.4%。さらに20歳人口に限っていえば、新宿区は実に45%が外国人であり、特に外国人の多い大久保地区は87%が外国人だそうです。新宿区がすごいのは外国人住民の出身国・地域も実にさまざまで126カ国を数えること。まさに国際都市の様相を呈しています。

将来、外国人に介護されるかもしれない

実際に新宿区の成人式を覗くと、外国人の参加者がそれぞれの民族衣装を着て式を楽しんでいました。

「こういうイベントはタイにはないのでうれしいです」と語ってくれたタイ人の留学生は、リクルートスーツを着ていたので、その理由を訊きました。

「できれば日本で働きたいので、いま就職活動をしています。夢は日本で働くことですが、でも難しい。どうなるかわかりません」

冷静に見れば、日本は老体化してゆく国です。

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今後、よっぽどの起爆剤がなければ、人口も経済も縮小してゆく国家です。

当然、国民の高齢化も確実に進むわけですが、そうしたときに、誰が高齢者を支えてくれるのでしょう。

厚生労働省はすでに2020年の段階で介護人材が全国で26万人不足していると発表しており、いわゆる団塊の世代がすべて75歳以上の後期高齢者になる2025年には30万人以上の介護人材が足りなくなるといいます。

「人生100年時代」と言われる中、あなたを介護してくれるのは外国人である可能性が高いのです。

芹澤 健介 ライター、編集者、構成作家

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せりざわ けんすけ / Kensuke Serizawa

1973年、沖縄県生まれ。横浜国立大学経済学部卒。NHK国際放送の番組制作にも携わる。長年、日本在住の外国人の問題を取材してきた。著書に『血と水の一滴 沖縄に散った青年軍医』、共著に『死後離婚』などがある。

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