鳩山首相が犯した2つの“経済失政”−−リチャード・カッツ

金融市場がパニックに陥らなかった唯一の理由は、鳩山チームが健全な判断を下し、亀井大臣を制御すると期待していたからである。元日銀の行員であった大塚耕平内閣府副大臣は、同案は銀行に返済猶予を強制するものではないと説明している。また亀井大臣が当初意図していたように、すべての中小企業と個人が対象になるものではないことも明らかになっている。

ただ問題は、亀井大臣が政策を決定し、メディアの注目の的になったという事実である。こうした状況は、金融市場に不安を与えるだけでなく、鳩山チームの“ボス”は誰なのかという疑問を呼び起こすことになるだろう。そもそも改革反対派の象徴である亀井大臣に、金融などの重要な分野を担当させるべきではなかった。

不況で経営危機に直面した健全な企業を救済する優れた政策はほかにもある。それは伝統的な融資保証制度である。健全な企業が経営危機に陥ったとき、銀行はケースに応じて元本返済や利払いを猶予し、貸倒引当金を積み増すことができる。だが、亀井大臣は古臭い“護衛船団方式”を復活させ、ゾンビ企業を支援するために銀行を利用しようとしているのは明らかだ。

民主党はこれまで、どう政府を運営するかより、どうすれば選挙で勝てるかを考えてきた。彼らは今、急いで統治の仕方を学ぶ必要がある。

Richard Katz
The Oriental Economist Report 編集長。ニューヨーク・タイムズ、フィナンシャル・タイムズ等にも寄稿する知日派ジャーナリスト。経済学修士(ニューヨーク大学)。当コラムへのご意見は英語でrbkatz@orientaleconomist.comまで。

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