JR東日本の社長が語る「2020年代の鉄道」の姿 自動運転やチケットレス、駅ナカ海外展開

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Suica(スイカ)は2020年3月に新幹線のチケットレス乗車サービスを開始する。すでに東海道・山陽新幹線で行われており、お客様から見るとサービスが似ているが、将来的には今スイカが使えない在来線特急や地方路線などもチケットレスにしたい。実現すれば、お客様が紙の切符を買うために窓口に並ばなくて済むようになる。

──2017年12月に英国の鉄道運営事業に進出しました。“日本流”は根付きましたか?

根付くというところまではいっていない。日本の鉄道は時間に正確だとよくいわれるが、英国の鉄道は列車の運行と、駅や線路などのインフラ管理とを別々の会社が行っているので、われわれが行っているような鉄道運営の仕組みとは違う。そこに日本と違う難しさがある。なお、日本は清掃レベルの高さにも定評があるので、こうしたノウハウを提供してお客様満足度を高める取り組みは、現在具体的に行っている。

国際鉄道人材の育成に力

――英国の鉄道運行のほか、タイではJR東日本の子会社が造った車両が走り、インドネシアでは車両メンテナンスを行っています。

深澤祐二(ふかさわ・ゆうじ)/1954年生まれ。1978年東京大学法学部卒業、日本国有鉄道入社。1987年JR東日本入社。投資計画部長、人事部長、副社長などを経て2018年から現職(撮影:尾形文繁)

鉄道事業でいえば、オペレーション(運行)とメンテナンス(保守)がわれわれのいちばんの得意分野。小売り事業では台湾やシンガポールに進出している。どのような事業がビジネスモデルとして成り立つのか、現在はいろいろなパターンを試している段階だ。

海外から日本に来てもらって何年か仕事をして、技術を身につけて帰ってもらうという取り組みも行っている。これはその国にとってプラスになるだけではない。メンテナンスの分野ではこれから人手が足りなくなってくるので、そういう人たちが戦力になるのであれば、われわれにとってもメリットが大きい。国際鉄道人材の育成はしっかりとやっていきたい。

──駅ナカ(駅構内)ビジネスの海外展開も進んでいます。

シンガポールでは駅ナカの権利を地元企業と共同で獲得した。海外鉄道路線における複数駅の駅ナカ開発は、日本の鉄道会社としては初めての試みだ。英国では駅ナカに自動販売機を設置した。キャッシュレス時代なので現金を使わないスタイルも可能だ。手応えを感じている。

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