「家族と格差」描く映画が世界で注目される理由 カンヌ受賞「万引き家族」「パラサイト」が象徴

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2019年のカンヌ国際映画祭で最高賞にあたるパルムドールを獲得した韓国映画『パラサイト 半地下の家族』の一場面 ⓒ2019 CJ ENM CORPORATION, BARUNSON E&A ALL RIGHTS RESERVED

今年のカンヌ国際映画祭で、審査員の満場一致で最高賞にあたるパルムドールを獲得した映画『パラサイト 半地下の家族』が、12月27日より先行公開されている(全国公開は1月10日から)。

メガホンをとったのは『殺人の追憶』や『グエムル -漢江の怪物-』などで知られる韓国のポン・ジュノ監督。同作品は、韓国初のパルムドール受賞作となり、地元・韓国で観客動員1000万人を突破する大ヒットを記録した。さらに、フランスでも観客動員160万人を突破し、香港・台湾では歴代パルムドール作品の中でも最多の動員数を記録しているという。

10月11日から公開されたアメリカでも、外国語映画としては異例のヒットを遂げ、来年発表予定のアカデミー賞でも、外国語映画賞にあたる国際長編映画賞はもちろんのこと、監督賞や作品賞といった主要部門へのノミネートおよび受賞にも期待が寄せられている。ポン監督は「今年は偶然にも韓国映画100年の年だったので意味があったと思います」と語る。

韓国初のパルムドール受賞作でアカデミー賞も有力視

本作に登場するのは、全員失業中で、日の光も、電波も弱い“半地下住宅”で暮らす貧しいキム一家。ひょんなことからIT企業を経営するパク社長の娘の家庭教師を紹介された長男ギウは、身分を偽り“高台の大豪邸”に潜入する。思いもよらぬ高給の“就職先”を見つけたギウは、家族全員で徐々にパク家に“パラサイト”していくストーリーだ。

この作品がなぜそこまで注目を集めているのか。

12月26日に行われた本作の来日記者会見で、ポン・ジュノ監督は「世界をまわってみて、多く聞かれたのは富める者と貧しい者。そして明快な悪党や、明快なヒーローが出てくる映画ではないから、ストーリー展開を予想するのは難しかった。悪党は出てこないが、そうしたところが世界で共感を得ている理由じゃないかと思います」と分析する。

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