上場宣言のエアクロ、「アパレル革命」へ新機軸 顧客の「生の声」を分析、データ提供も視野
月額9800円でスタイリストのコーディネートした服が借り放題――。そんなレンタルサービスを5年前に始めたエアークローゼットが、数年内の株式上場に向けて本格的な準備段階に入った。
エアクロの天沼聰社長は2019年12月に実施した東洋経済のインタビューで、「上場に向けて、証券会社と具体的に話を進めている。数年内には(上場したい)というイメージを持っている」と語った。
国内最大級のファッションレンタルへ
エアクロは、コンサルティング会社や楽天でキャリアを積んだ天沼社長が2014年に創業。「人々の生活の中に、わくわくするような出会いを提供したい」との思いと、自身の得意分野でもあったITを掛け合わせられるサービスを考えた結果、ファッションのサブスクリプション(定額課金)型のレンタルを思いつき、2015年に事業を開始した。
国内のファッション業界では2010年代に入ってから、ITやAI(人工知能)を駆使して新しいサービスを提供するベンチャー企業が続々と誕生してきた。ただ、あまたあるファッションベンチャーの中でも、上場を見据えて証券会社との具体的調整にこぎ着けた企業は数少ない。
エアクロの創業当時、国内で普段着の定額レンタルサービスはほぼ皆無だったが、「洋服を選ぶ時間がない」「自分に似合う服がわからない」といった悩みを持つ女性の潜在需要は大きかった。20~40代の働く女性を中心に支持を受け、2015年のサービス開始から5年足らずで無料会員を含めた登録会員数は25万人を突破した(有料会員数は非公表)。
今では若者向けブランド「アース ミュージック&エコロジー」などを展開するストライプインターナショナルの「メチャカリ」と並び、国内最大級のファッションレンタルサービスへと成長を遂げた。
天沼社長は株式上場の意義について、「To C(一般消費者向け)のサービスだからこそ、顧客へ(上場企業であることの)安心感を提供できる」と話す。事業拡大に伴い、クリーニング「ホワイト急便」を運営する中園ホールディングスや寺田倉庫、大和ハウス工業などの出資を受けてきたが、上場で資金を調達し、「データサイエンスやAIの分野で必要となる人材の確保や、プラットフォームとマーケティングの強化につなげたい」(天沼社長)という。
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