スワボーダ氏が「開発」した金管ラップのプログラム “Brass Rap” は”音楽の歴史、音楽のサイエンス、全部の金管楽器についてのお話をラップでパフォーマンスするというのが織り込まれた30分間のプログラム”というものだ。
その誕生の過程は意外なものだった。
「面白かったのは、商品のデザインや商品のアイデアをひねり出すという観点から見て、わたしはこのプログラムを4年間テスト開発していたということ。最初に着想を得たのは、全校集会で金管四重奏を演奏したときのことだった。アンサンブルの他のメンバーが演奏している間にちょっとラップを披露することをわたしたちは思いついた。実際やってみるとすごく盛り上がって、楽しかった。それから3年間、アイデアを思いついては小学校の教室で披露して試してみるということを繰り返していった」
5分のパフォーマンスをやってみて、小学校3年生のクラスでやったときにどう反応するか実験し、スベるのかウケるのかその都度確かめたという。
こうして丹念に「現場でのチェック」を経てパーツが作り上げられていった Brass Rap はある時ついにある楽器工房を通じて全米の楽器店に周知され、当然のことながらどの学校でも大変な評判を呼び、スワボーダ氏は引っ張りだこで、家を引き払うことになるほど、その後数年間で全米を飛び回ることになった。
音楽家たちにも顧客視点は非常に重要
「よい商品を作る」プロセスのお手本のような実話である。
音楽家たちは、「顧客の反応」を確かめながら「商品=コンサート、録音etc……」を作り上げるという発想をどれほど持っているだろうか?
学ぶことがたくさんあるはずだ。
トピックボードAD
有料会員限定記事
ライフの人気記事
ログインはこちら