解散・総選挙のタイミング、本命は2020年秋か 相次ぐスキャンダルで支持・不支持が逆転
だからこそ、9月6日の東京五輪・パラリンピック閉幕を受けての「10月上旬解散―11月8日投開票」や「11月中旬解散―12月13日投開票」など、2020年秋の解散・総選挙が大本命とみられているのだ。
五輪後に想定される景気の急激な落ち込みも、景気動向指数などで顕在化するのは2020年末以降。加えて、11月3日のアメリカ大統領選で、安倍首相と蜜月関係にあるトランプ大統領の再選が有力視されていることが、「2020年秋解散」説の現実味を加速させている。
「人柄が信用できない」安倍首相
臨時国会が会期延長もなく閉幕した12月9日夕の記者会見で、首相は衆院解散について「時が来たと考えれば躊躇しない」と思わせぶりに語った。それまで「頭の片隅にも、真ん中にもない」と繰り返してきたのとは大違いだ。ただ、今後の政治日程や安倍政権を取り巻く情勢からみると「首相が『時が来た』と受け止める好機が来る可能性は少ない」との厳しい指摘もある。
超長期政権のおごりと緩みを象徴するスキャンダルの連鎖が、国民の政治不信を拡大させているのは否定しようがない。12月24日公表の朝日新聞の最新世論調査では支持38%、不支持42%と支持と不支持が逆転した。多くの世論調査で「内閣不支持」の理由の半数近くが「首相の人柄を信用できない」となっている。
もちろん、低下したといっても40%前後を維持する支持率は歴代内閣に比べてもなお高く、危険水域とされる30%割れまでにはまだ余裕があるが、安倍首相にとって「人柄が信用できない」の増加・定着は「精神的なダメージになっている」(官邸筋)とされる。
朝日の調査で「次の自民党総裁(首相)にふさわしい人」の回答は、党内実力者で唯一、「反安倍」の立場を鮮明にしている石破茂元幹事長が23%でトップ。安倍首相が後継者に見込んでいるとされる岸田文雄政調会長は5%と大きく差をつけられている。この結果に党内から「次の総理・総裁が石破氏になれば、安倍政権への国民の批判や不信を払拭できるのでは」(無派閥若手)との声も出始めている。
史上最長なのに「これといった政権のレガシー(政治的遺産)が見当たらない」(閣僚経験者)のが安倍政権。それだけに、首相にとって2020年は「歴史的大宰相になれるかどうかが決まる重要な1年」(細田派幹部)でもある。しかし、党内には「無理に解散して死に体になるより、東京五輪の成功を花道に勇退する方が歴史に残るし、岸田氏への禅譲で院政の道も開ける」(自民長老)と指摘する向きもある。
こうしてみると、首相が「躊躇しない」とする解散断行も、「直前まで予測不能なアメリカ大統領選も含めて、不確定要素ばかり」(自民幹部)だ。昔から「来年のことを言うと鬼が笑う」ともいわれるだけに、新年を迎える首相にとって「解散も含め、2020年は出たとこ勝負」というのが本音かもしれない。
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