ホンダ「N-BOX」、買ってわかった売れる理由 9カ月乗って実感する「意外なよさ」とは?
ドレス効果は、室内の広さに対する感覚にも派生する。シートのスライドやアレンジ、収納スペースでも、Nライバルたちと大差があるワケではないが、実寸以上にドレス効果の影響が大きい。
また、自動車専門誌などが軽自動車の比較試乗をすると、N-BOXは必ずと言っていいほど「走りのよさ」で他銘モデルを圧倒するという記事になる。これは至極、当然のことだ。
ホンダはこれまで、ハイブリッド車やEV(電気自動車)など環境対応車であっても、他社との差別化要因として「ホンダらしい走りのよさ」を主張してきたからだ。
コストをかけた「走りのよさ」
ホンダは、2010年代までダイハツとスズキがほぼ占有していた軽市場に風穴を開けるため、N-BOXを筆頭とする「Nシリーズ」で「圧倒的な走りのよさ」を追及した研究開発を進めてきた。
では、実際に日常生活の中で「走りのよさ」をどう感じるのか?
ひと言でいえば、「走りのつながり感」がいい。具体的には、ブレーキをかけた際にクルマ全体とドライバーが感じる、減速Gのかかり方が絶妙だ。ススゥーグググゥ~という感じ。減速しながらのハンドル操作で、定常旋回に入れる。また、頭打ち感がなく伸びがいいCVT(とVTECエンジン)の加速感もよく、乗り心地も路面からの突き上げの収まりが早いため良好だ。
この感覚は、次世代車体DNGAに刷新した新型タントでは感じられない。タントの開発担当者が「商品の方向性はホンダとはっきり違う」と言うのだから、当然だ。
別のダイハツモデルの開発担当者は「衝突被害軽減ブレーキ等の安全装置など、製造コストが上がる中、軽自動車は販売価格が(事実上)頭打ちで、その中で走行性能にコストをかけることは難しい」と説明する。
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