相鉄直通、東急の真の狙いは「新横浜アクセス」

JR線直通で一段と期待が高まる

「相鉄・JR」「相鉄・東急」の両直通線は、都市鉄道の速達性向上事業と駅施設利用円滑化事業に対して国庫補助する都市鉄道等利便増進法が2005年に施行されたのを受け、その適用第1号として2006~07年に国土交通大臣から認定された。だが、構想当初の運政審第18号答申(2000年)の段階では神奈川東部方面線の名称で東急線大倉山付近―相鉄線二俣川方面とされ、JR線直通は念頭になかったようだ。

羽沢横浜国大駅から望む相鉄・東急直通線の羽沢トンネル(撮影:久保田 敦)

しかし、相鉄―東急間の路線のみであると、横浜駅において1日あたり片道約7万人(都市交通年報平成23年版から算出)を数えるJRと相鉄間の乗り換え客が、数万レベルで東急線に移ってしまう事態が考えられる。

そこでJR東日本は東部方面線と自社が持つ東海道貨物線が最接近する利を活用し、この直通運転計画への参入を決断したのである。相鉄の意向もあったと思うが、1日でも早く利便向上を目指すプロジェクトを実現させるため、距離が短い相鉄・JR直通線の整備を優先させ、相鉄・東急直通線は3年ずれての開業予定となった。

JR直通線と別の意義を強調する東急

東急にしてみれば競合ルートの出現とともに、そちらに一歩先んじられることになり、ある種の“思い”は想像されるところだが、その対応も含めて相鉄・東急直通線の意義やあり方をどのように考えているのだろうか。

東急電鉄で直通線事業の全体を統括する技術戦略部技術企画課の担当者は「JR直通線と東急直通線はそれぞれの特徴がある」と言い、熾烈な競合関係に対策を講じる状況ではなく「横浜市西部地区および神奈川県央部と東京都心部との速達性向上や広域鉄道ネットワークの形成を図るという東部方面線の目的を一にする中での各パーツであり、両輪のように機能させたい」と説明した。その理由として、以下の状況を挙げている。

JRルートは朝ラッシュ時1時間に4本、それ以外の時間帯は毎時2~3本と少ないものの、停車駅が少なく、都心にダイレクトにアクセスできる。一方、東急ルートは事業計画において朝ラッシュ時1時間10~14本、それ以外の時間帯は毎時4~6本と、JRルートの倍以上の頻度を予定している。

また、日吉で東横・目黒の両線につなげるので東横線から東京メトロ副都心線、目黒線から東京メトロ南北線や都営三田線方面と多彩な都心ルートに乗り入れ、都内を網羅する地下鉄と密接なネットワークを築ける点である。こうした好条件から、鉄道・運輸機構が示す1日あたり利用者数の予測は、相鉄・JR直通線の約7万人に対して相鉄・東急直通線は4倍近い26万4000人とされる。

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