線路と道路両用「DMV」、ようやく四国で実用化 四国の阿佐海岸鉄道で2020年度から運行へ

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2007(平成19)年10月に施行された「地域公共交通の活性化及び再生に関する法律」において、DMVは「新地域旅客運送事業」として認められた。「新地域旅客運送事業」は「鉄道・道路・航路のうち、同一車両(船舶)で2つ以上の事業を直通するサービス」と定義され、水陸両用バスと同じ分類となっている。

11月30日に京都鉄道博物館でお披露目イベントが行われたDMV(筆者撮影)

DMVの運行については、2015(平成27)年に国土交通省からガイドラインが示された。「デュアル・モード・ビークル(DMV)に関する技術評価委員会」の「中間とりまとめ」によると、現在のDMV技術における運用は「鉄道経路はDMV専用線とする」「単車走行(連結無し)」「線路上で行き違いなし」「長大トンネルなし」「モードチェンジ部は鉄道線路区間の両端のみ(途中駅、線路、踏切などからの線路進入脱出不可)」などが条件になる。

まとめると、DMVの利点は「運用・保守コストが低い」であり、欠点は「導入コスト」「定員」「制約の多さ」となる。鉄道と道路の両方を走れる性能は機動力と捉えられる。しかし、交通手段としては「そもそも全区間バスでいいじゃないか」とさめた見方もできる。路線バスとDMVを比べれば、線路走行機構がない分、路線バスの方か安い。

それでも導入する理由は?

このような条件をすべて把握したうえで、徳島県がリーダーシップを取って、阿佐海岸鉄道のDMV導入を決めた。なぜか。阿佐海岸鉄道代表取締役専務の井原豊喜氏に聞いた。同社の社長は徳島県海陽町長であるため、井原氏が実質的に同社を取り仕切る。

阿佐海岸鉄道代表取締役専務の井原豊喜氏(特別な許可を得て筆者撮影)

井原氏は小売業界大手で店舗の集客企画業務などを担当したのち、2店舗を任されて経営経験を積んだ。阿佐海岸鉄道には「専務公募制度」で就任した。応募の動機はDMVという新しい仕組みに興味があり、集客経験が生かせると考えたから。

「新しいことをやる、これから作り上げていく、という仕事が好きなんです。DMVはまったく新しい乗りもの、今までの鉄道とは違う、アトラクションに近いと思っています。それに、出身地に貢献できる仕事だったので」

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