東芝vsHOYA「半導体装置メーカー」争奪戦の行方 親子上場の解消目指す東芝にHOYAが「待った」

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今回のHOYAの提案は1株当たり1万2900円で、東芝より1000円高い水準。東芝がTOBに失敗した場合にのみ、来年4月からTOBを開始する考えだ。買収総額は1400億円を超える見通し。

一方、東芝はニューフレアの株式52.4%を現在保有しており、東芝がTOBを成立させるためには14.27%分以上をほかの株主から買い取って合計保有株が最低3分の2以上となる必要がある。その後は株式売り渡し請求などでニューフレアを完全子会社化して上場廃止になる予定だ。

東芝グループと距離を置く「東芝機械」

両社のキャスティングボートを握っているのが、ニューフレア株の約16%を保有する2位株主で射出成形機が主力の東芝機械だ。東芝機械が東芝のTOBに応じれば、ほかの機関投資家などが反対しても東芝のTOBは成立する見通しだ。

もっとも東芝機械は社名に「東芝」とつくものの、東芝の出資比率はわずか2%。2017年に東芝は保有していた東芝機械の大部分となる株式約18%分を売却しており、現在は東芝グループから完全に離れている。2020年4月に社名も「芝浦機械」に変更する予定だ。

その東芝機械の筆頭株主に躍り出ているのが、有名投資家の村上世彰氏が実質率いるオフィスサポートだ。ここ最近で株式を継続的に買い増しており、“村上ファンド”の存在感がじわりと増している。さらに村上ファンド系の南青山不動産もニューフレア株を買い進めている。HOYAの鈴木洋CEOが村上氏と同じシンガポールを拠点にしているため、さまざまな臆測も流れている。

ただ、村上氏は周囲に「HOYAのCEOには会ったこともないし、連絡したこともない。裏で糸を引いているように思われるのは濡れ衣である」と話しているという。

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