サントリー「ウイスキー大国」インド参入の勝算 市場規模は日本の10倍、専用商品で開拓狙う
国内ウイスキー最大手のサントリーホールディングスは12月、インド専用のウイスキーを発売することを決めた。
「オークスミス」というブランドで2商品を投入し、価格は750ミリリットルで1本836ルピー(約1300円)と1375ルピー(約2100円)。スコッチとバーボンの原酒をインドに輸入し、インド北西部のラジャスタン州ベンガロールなどにある現地の自社工場でブレンドする。
インド最大の都市であるムンバイ近郊の町から順次発売する計画。2020年は12万ケースだった現地の販売量を2022年には100万ケース規模での販売を目指す(1ケース9リットル換算)。
世界最大のウイスキー市場・インド
あまり知られていないが、インドは世界最大のウイスキー消費国と言われる。アルコール飲料に特化した市場調査会社IWSRによれば、2018年にインドで販売されたウイスキーは2億1300万ケース。2位のアメリカが6900万ケース、3位の日本が1900万ケースであることを踏まえると、インドは桁違いに大きい。
世界中の蒸留所などの情報を掲載しているイギリスの「モルト・ウイスキー・イヤー・ブック」によると、世界ブランドのウイスキー販売量ランキングでは上位10社中6社がインドで生産するウイスキーだった(2018年)。ウイスキー発祥の地であるイギリスの旧植民地ということもあり、ウイスキー文化が根づいている。
サントリーホールディングスの新浪剛史社長は2019年9月に東洋経済が行ったインタビューで、「中間層に向けた(インドで生産する)インディアンウイスキーにチャレンジしていきたい。10年先を見据えたビジネスになる。インドという市場は、ウイスキーをグローバルで展開しているサントリーにとって、プレイヤーとして(存在して)いなければいけない市場だ」と語っていた。
サントリーが海外事業を拡大したのは2014年。アメリカの蒸留酒メーカーであるビームを総額160億ドル(約1.7兆円)で買収し、アメリカと日本の技術を融合した商品の開発やビームの販路を活用した営業活動により、アメリカ市場を攻略してきた。次なる大市場として新浪社長が目をつけたのがインドと中国だった。
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