「愛車の一時交換サービス」は日本で普及するか 物々交換式カーシェアに輸入車販売店も注目

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こうしたさまざまな安心・安全の仕組みを設けてもなお、個人の車を借りるのは心理的なハードルが高いという会員がいることも想定される。そこでカローゼットには自動車販売会社などいわば「プロオーナー」の試乗車も登録できるようにした。

会員はディーラーの店舗に自分の車を預けて、試乗車を借りることができる。このプロオーナーにはすでにボルボ・カー・ジャパンやホンダ東京西といった企業4社が登録。プロオーナーもカローゼットに個人会員と同額の月額利用料(税別780円、2020年5月末まで無料)を登録する車の台数分支払うが、会員がお店に持ち込んだ車を利用するわけではない。プロオーナーにはどんなメリットがあるのか。

その1つが自動車販売会社にとっては新規顧客の開拓につながる点だ。自動車のユーザーは自分の車とは異なるブランドのお店には入りづらい。その点、プロオーナー制度では自社ブランドに興味がある他ブランドユーザーが来店することで、格好の販売促進機会が生まれることになる。必ずしも新車の販売に直結するわけではないが、顧客とのタッチポイントを作りだせる。そこに魅力を感じる販売会社からの引き合いも増えているという。

ボルボはまず直営店でプロオーナー導入

ボルボ・カー・ジャパンでは東京や神奈川で展開する直営の9店舗でこのプロオーナー制度を導入する。同社の木村隆之社長は「この新しいビジネスモデルが離陸するかどうかはまだ確信がない。だからこそ直営店でリスクを取って始める価値がある。成果が出れば、ボルボディーラーを展開する全国の販売会社にも積極的に勧めたい」と話す。ボルボ・カー・ジャパンは日本で唯一、輸入車インポーターでありながら同じ会社の中に直営店を一部門として擁し、新しい施策を機動的に展開できる組織形態になっている。

カローゼットでは会員が保有する車の価格帯はまったく関係なく、制度上は「平等」だ。極端な話、軽自動車ユーザーもほかの会員のメルセデス・ベンツやBMWなどの高級車と一時交換ができ、プロオーナー制度を使えばボルボの試乗車を借りることもできる。一方で軽自動車ユーザーはほかの会員になかなか借りてもらえず、自分が利用した分の清算金を払うだけになる可能性もある。

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