仮設住宅生まれのご当地キャラ、大ブレイク 宮城・東松島の主婦が作った「おのくん」が超人気

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縫いぐるみづくりを呼びかけた、自治会長の武田文子さん

おのくんとの出会いによって、閑散としていた仮設住宅もガラリと雰囲気が変わった。集会所には全国からたくさんの人が集まるようになり、おのくんを通じて住民とボランティア、旅行者の交流が始まったのだ。

仮設住宅に入居してまもないころ、「がれきの片づけで来てくれるボランティアが休養できる場所を」と、武田さんは喫茶スペースの開設を考えた。

しかし、適当な場所が見つからずに思案していたところに、縫いぐるみづくりと巡り会った。

おのくん制作の特徴は、材料の調達から制作、販売に至るまで、仮設住宅の住民が自らの手でやり遂げていることにある。

「おら、おのくん」と題したファンによる写真集も人気に

当初、作り手の女性たちは無償で働き、1体1000円の販売収入を元手に、綿や靴下を買い集めた。軌道に乗るまでに3カ月かかった。できあがったおのくんはボランティアがまとめ買いし、復興イベントなどを通じて全国に広める役割を果たした。

おのくんの制作は、あくまでもマイペースだ。たくさん作るのが難しいところに人気が爆発したため、注文から発送まで、なんと6カ月待ちだという。「仮設住宅に来てくださった方への販売が基本」(武田さん)なので、仮設住宅の集会所にはたくさんのおのくんが陳列されている。

津波で我が家を失い、仮設住宅暮らしの武田さんだが、「たくさんの人と知り合えたことのほうが大切。おのくんにはとても感謝しています」と語る。

岡田 広行 東洋経済 解説部コラムニスト

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おかだ ひろゆき / Hiroyuki Okada

1966年10月生まれ。早稲田大学政治経済学部政治学科卒。1990年、東洋経済新報社入社。産業部、『会社四季報』編集部、『週刊東洋経済』編集部、企業情報部などを経て、現在、解説部コラムニスト。電力・ガス業界を担当し、エネルギー・環境問題について執筆するほか、2011年3月の東日本大震災発生以来、被災地の取材も続けている。著書に『被災弱者』(岩波新書)

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