三越、日本橋本店に「ビックカメラ誘致」の真相 欧米の潮流を受け、家電量販店を初導入

拡大
縮小

また、百貨店業界では近年、百貨店が商品企画や品ぞろえを決める自主運営の売り場を縮小し、テナントを誘致する賃貸形式に移行する店舗が増えている。例えば、大丸松坂屋百貨店を擁するJ.フロントリテイリングは「脱百貨店」を標榜し、賃貸形式への移行を進めている。

2017年に東京・銀座に開業した商業施設「GINZA SIX」は、テナントから賃料を得る不動産ビジネスに特化した施設だ。

三越伊勢丹は自主運営の売り場にこだわってきたが、今回のビックカメラは賃貸形式での入居となる。そのため、三越伊勢丹もこうした業界の流れに沿って、今後は賃貸形式を増やしていくようにも見える。

欧米で増える「高級家電」売り場

しかし、ビックカメラの入居は三越伊勢丹全体の方針として、賃貸方式への移行を意味するのではない。「あくまで、品ぞろえ強化の一環」と三越伊勢丹は位置づける。三越伊勢丹ホールディングスの杉江俊彦社長は「ビックカメラには、今までとは違う業態を考えていただいている。高級家電をお客に売ることを主眼にしている」と語る。

そのうえで、「欧米の百貨店では今、家電売り場が増えている。家電が進化していて、『高級家電』というジャンルが確立されている。とくに、欧州の百貨店は高級家電が自分たちのビジネスになることを理解し始めた。日本でももちろん、高所得者層も家電を購入される。そういったお客を、われわれのマーチャンダイジング(商品政策)で取り込んでいきたい」と話す。

さらに、杉江社長は日本橋地域に家電販売店が必要であることを強調する。

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