子供のヤケド治療で地獄をみる家族が持つ疑念 重症熱傷でも皮膚移植なしに治す治療がある

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その頃になってようやくあなたは大学病院での治療に疑いの念を持ち、ネットで熱傷治療について調べられることに気がつく。すると、重症熱傷でも皮膚移植なしに治す治療があって、わが子よりひどい熱傷が植皮なしに治っていることを知る。しかも、傷跡はとてもきれいだ。

外来受診日に手術の説明をした医者に「術前の説明と違うではないか。こんなことなら手術を受けるんじゃなかった」と抗議しようと思っても、その医者は、医局人事とやらで他県の病院に異動していて、外来担当の医者はまったく面識のない医者に替わっている――。

これが嘘でも作り話でもないことは、あなたや家族がヤケドして、大学病院や総合病院に入院になればすぐにわかるだろう。おそらく、寸分違わぬ説明を受けて、手術同意書へのサインを求められるはずだ。

身もふたもない言い方をすれば、この医者の説明はすべてインチキ、嘘である。熱傷はどんなに深くても皮膚移植なしに治るし、きちんと治療すれば傷の引きつれは滅多に発生しない。おまけに、感染すると命が危ないというのは大昔の話で、細菌感染しても抗生物質を飲めばすぐに治る。

また、皮膚移植できれいな皮膚に戻るというのも嘘なら、皮膚採取部の傷跡がきれいに治るというのも嘘だ。それらは何年経ってもきれいにはならないのだ。

いわば、医者たちは嘘の説明をして、手術に同意させて皮膚移植手術をしていたのだ。その結果、患者と家族は地獄に叩き込まれるのだ。

善意の「地獄への案内人」たち

では、医者たちは、患者を地獄に誘い込むために嘘の説明をしたのかというと、そうではない。彼らは患者の幸福のために最善の治療法を選択し、最善の手術を行ったのだ。

彼らは善意の塊であり、悪意はかけらもない。絵に描いたような、誠実で誠意あふれる医者ばかりだ。だが、悪意のない誠実で善良な医者が患者を地獄に引きずり込んでしまうのだ。

その理由は、彼らが行っている「熱傷の標準治療」は「患者の地獄」にしか通じていない一本道だからだ。彼らは標準治療に精通し熟知しているが、それしか知らないのだ。だから、地獄への一本道に患者を自動的に招き入れる。要するに、教科書を疑うことを知らない誠実で善意に溢れた医者ほど、効率的に患者を地獄に引きずり込んでしまうのだ。

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