子供のヤケド治療で地獄をみる家族が持つ疑念 重症熱傷でも皮膚移植なしに治す治療がある
そして10日目ごろ、突然、次のような説明がある。
・このまま軟膏の治療を続けても絶対に治りません。
・傷が治らないと傷からバイキンが入って感染し、敗血症になります。敗血症になると死亡します。
・敗血症になるのを防ぎ、命を助けるためには、「皮膚移植」(以下、「植皮」)をして傷をふさぐしか方法はありません。
・植皮しないで治した場合、皮膚の引きつれが起きて手足が動かなくなります。
・植皮しないで治した場合、皮膚がんが発生することがあります。
・植皮をするとヤケドはきれいに治ります。
・植皮とは、背中やお尻の皮膚を採って、その皮膚で患部を覆って治す手術です。皮膚を採った背中やお尻の傷はきれいに治ります。
・来週の月曜日なら手術室が空いていて手術できるので、この手術の同意書にサインして看護師に渡してください。
このような説明を矢継ぎ早にされたら、あなたはどうするだろうか。おそらく、突然の説明と情報の多さと「このままでは死んでしまう」という切羽詰まった状況に圧倒され、脳は思考停止状態に陥り、医師に言われるがままに手術同意書にサインしてしまうだろう。
そして、予定通りにお子さんに皮膚移植が行われる。
これはインチキ治療なのか
術後は包帯グルグル巻きだったが、1週間目ごろから手術した部位のガーゼが少なくなっていき、次第に移植した皮膚が見えてくるようになる。
医者はニコニコ顔で「きれいに治りましたね」と言ってくれるが、あなたは違和感でいっぱいのはずだ。「きれいだ」と医者が説明する移植皮膚の見た目と色は、周りの皮膚と違いすぎてまるでパッチワークだ。手に移植した皮膚はなぜか日ごとに縮んできているように見え、どう考えても手術前より引きつれがひどくなっている。
「傷跡は残らない」と説明された皮膚を採った背中には大きな傷跡があり、これがきれいになるなんて信じられない。だが、大学病院の医者が「きれいに治る」と言っていたのだから、いずれきれいになるのかもしれないと、あなたは無理やり自分に言い聞かせるだろう。
手術から2週間ほどで退院となったが、移植皮膚は何カ月経っても色違いのパッチワークのままだし、背中の傷はようやく乾いてきたが、皮膚を採った部分は周囲の皮膚と色が違っていて、表面はでこぼこしていて、これまたパッチワークだ。
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