――前回は何が失敗だったのか。
八重樫君はウソをつかないし、人格的には本当にいい男だったが、商売には向いていなかった。立派な人間でも、経営に向かないことはある。
――当時、「八重樫君のほかに社長候補はいない」と話していた。
(2011年秋に)メキシコの新工場の建設担当として現地に行ってもらおうと考えていたが実現せず、結局、八重樫君はほかの会社へ行ってしまった。僕の中ではメキシコ行きがなくなった時点で、もう社長にするのは難しいという気持ちがあった。
――時間をかけて社長に就いてもらう選択肢はなかったのか。
ベースになる地頭がよくなければ、社内で育てるのは無理。自動車業界をよく知らなくても、頭がよければ経営はできる。
年功序列で社長に就くというのもダメ。実力を伴わないからだ。うちでは、年功序列の人事はしていないし、若くして出世した例もある。
報酬は1億円以上
――地頭の良さとは具体的にどのような能力なのか。
どうすれば相手にモノが売れるか、仕入れが安く済むか、そういった考えが常に頭にあり、すぐに計算できること。国籍が違う者同士の間に立って、きちんと考えを整理していく力も必要だ。世界中のメーカーと渡り合っていかなければならないし、ユーシン社内を考えても、昨年5月に仏ヴァレオのキーセットやドアハンドル事業を買収したことで、従業員1万人のうち4000人がフランス人になっている。
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