2度目の"社長公募" ユーシンの焦り 田邊会長兼社長「前回は失敗だった」
――前回は何が失敗だったのか。
八重樫君はウソをつかないし、人格的には本当にいい男だったが、商売には向いていなかった。立派な人間でも、経営に向かないことはある。
――当時、「八重樫君のほかに社長候補はいない」と話していた。
(2011年秋に)メキシコの新工場の建設担当として現地に行ってもらおうと考えていたが実現せず、結局、八重樫君はほかの会社へ行ってしまった。僕の中ではメキシコ行きがなくなった時点で、もう社長にするのは難しいという気持ちがあった。
――時間をかけて社長に就いてもらう選択肢はなかったのか。
ベースになる地頭がよくなければ、社内で育てるのは無理。自動車業界をよく知らなくても、頭がよければ経営はできる。
年功序列で社長に就くというのもダメ。実力を伴わないからだ。うちでは、年功序列の人事はしていないし、若くして出世した例もある。
報酬は1億円以上
――地頭の良さとは具体的にどのような能力なのか。
どうすれば相手にモノが売れるか、仕入れが安く済むか、そういった考えが常に頭にあり、すぐに計算できること。国籍が違う者同士の間に立って、きちんと考えを整理していく力も必要だ。世界中のメーカーと渡り合っていかなければならないし、ユーシン社内を考えても、昨年5月に仏ヴァレオのキーセットやドアハンドル事業を買収したことで、従業員1万人のうち4000人がフランス人になっている。
――前回と比べて、選考方法に違いはあるのか。
前回は条件設定がまずかった。一つは報酬。今回は社長就任時の報酬を「最低でも1億円」と打ち出した(前回は入社時年俸3500万円以上)。1億円というのは、普通のサラリーマンでは稼げない額。今の会社で優遇されている人間にも、十分魅力的だろう。
履歴書や面接では、今の会社内でどのような課題に直面し、解決してきたかを重点的に見ている。今のところ、いい人が集まっていると思う。
――現在の応募状況は?
40~50人。業界不問、国籍不問と打ち出したら、他業界からや外国人の応募もあった。すでに4人内定していて、その中には外国人もいる。募集期間は3月3日まであるので、あと2人くらい足して、最終的には6人くらいになると思う。
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