法務相も辞任、止まらぬ安倍政権「辞任ドミノ」 閣僚連続辞任で政局の節目変わるきっかけに

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どのケースでも安倍首相は「任命責任は私に」と陳謝してきたが、組閣・改造人事のたびに同じことが繰り返されている。与党内には「首相は自分の責任と言いながら、きちんとけじめをつけたことがない。内閣の高支持率にあぐらをかいている」(公明党幹部)との首相批判も広がる。自民党反主流派からは「こんな状況が続けば、次の選挙で必ず国民からしっぺ返しを受ける」(石破派幹部)との声も漏れてくる。

今回の連続辞任について、自民党内では「政権内の権力闘争にも影響を与える」(閣僚経験者)との見方が広がる。菅原、河井両氏は無派閥だが、どちらも菅義偉官房長官の側近で知られる。とくに河井氏は外交担当の首相補佐官や党総裁外交特別補佐官として、日米外交での首相の密使役も務めるなど、首相の懐刀としても活動してきた。

菅氏の求心力低下は不可避に

さらに、法相辞任の原因となった河井案里氏は、参院広島選挙区での出馬を「菅氏が強引に押し進めた」とされる。同区で自民2人目となる案里氏の出馬で落選の憂き目を見た溝手顕正元参院議員会長は、ポスト安倍の有力候補とされる岸田文雄政調会長が率いる岸田派の重鎮で、同派からは「菅氏の露骨な岸田氏いじめ」(幹部)との不満が渦巻いていた。

このため、今回の菅氏側近の連続辞任については与党内でも「菅氏の政権内での影響力や求心力の低下は避けられない」(公明党幹部)との見方が広がる。また、岸田派内では「司法の捜査で河井案里氏の陣営の公選法違反が事実とされれば、連座制による議員辞職もありうる」(若手)として、それに伴う参院補選での溝手氏復活への期待も膨らむ。

河井氏は辞表提出後、「(疑惑は)私も妻もあずかり知らないこと。私としては法令にのっとった選挙をしていると信じている」と語ったが、週刊文春の記事は「案里氏の陣営が選挙カーから名前を連呼する運動員13人に、公選法で定められた上限額1万5千円の倍額の3万円を報酬として支払った」と極めて具体的だ。

河井氏が直ちに辞任したことも踏まえれば、「司法当局の捜査は当然」(司法関係者)とされうるだけに、「閣僚辞任で済む話ではない」(立憲民主党幹部)との見方も広がる。

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