やる気がない人ほど「まず手を動かすべき」理由 どれだけ退屈でも集中力は後からついてくる

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そもそも、なぜやる気が起きないのか。それは、まだ始めていないためにそのタスクの“魅力”がイメージできていないことが大きな要因です。だから「面倒くさいこと」や「大変なこと」といったハードルばかりが頭に浮かんできてしまう。

これを解消するには、その作業が意外に楽しいということを、身体の“末梢”から教えてあげることです。末梢とは、文字をタイプするときの「指」や、ものごとを見る「目」、身体を動かすときの「筋肉」や「皮膚」などのこと。まずはそれらの末梢を無理やりにでも動かしてみて、そこから作業の楽しさを脳に伝えるのです。

例えば、「文章をタイプするのって、やり出すとけっこう楽しいものだな」とか、「繰り返し練習をするのって、やればやるほどクセになるな」といった感覚です。誰でも経験があるのではないでしょうか。

やる気とは、やり始めてから出るもの

たとえやる気が起きなくても、まずは無理にでも始めてみて、手や目などの末梢から脳に作業の楽しさを伝える。そしていざやり出せば、脳がそれを続けるように働きかけてくれる。脳の構造上、「やる気は、やり始めてから出る」ようになっているのです。

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いざ、やり始めてみてもどうしても気分が乗ってこない場合は、心からそのタスクがイヤだという可能性が高いので、誰か得意な人に任せてしまうか、あるいは思い切って仕事を変えることを検討するのも、長い目で見れば得策かもしれませんね。

「とにかく手を動かし始める」には、「◯◯をしたときは、××をしないと気持ちが悪い」というようにクセづけするのも効果的です。

例えば「寝間着に着替えたら、歯磨きしないと気持ちが悪い」とか、「コーヒーを淹れたら、必ず企画書づくりを始める」とか、「◯◯の音楽をかけたときは、部下の書類をチェックする」などです。ぜひ、自分ならではの「開始のルール」をつくってうまく利用しましょう。

中野 信子 脳科学者

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なかの のぶこ / Nobuko Nakano

医学博士、認知科学者。1975年、東京都生まれ。東京大学工学部卒業。東京大学大学院医学系研究科脳神経医学専攻博士課程修了。フランス国立研究所にて、博士研究員として勤務後、帰国。脳や心理学をテーマに研究や執筆の活動を精力的に行う。現在、東日本国際大学教授。著書に『脳内麻薬』『ヒトは「いじめ」をやめられない』『サイコパス』などがある。テレビ番組のコメンテーターとしても活動中。

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