マツダが「アクセラ」「デミオ」の名を捨てた意味 自動車メーカーによる車名戦略の過去と現在

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今も使われている車名で、ブランド全体での各車の位置づけを考えた車名をいち早く使ったのはプジョーで、1929年発表の201が最初だった。百の位で車格、一の位で世代を表し、真ん中は常にゼロになる。プジョーはこの方式での命名法を登録商標としている。

プジョーの新型208(筆者撮影)

ただしこの方式は、123やABCと同じように、いつしか数字が枯渇してしまうという悩みがある。そのためプジョーは308を皮切りに、モデルチェンジしても車名を変えない方式に転換しており、先日日本で新型が発表された「208」も、2回続けて同じ数字を起用している。

開発コードが車名になったポルシェ

開発コードそのまま車名とした例も存在する。代表格はかつてのポルシェで、「356」「924」「928」などはこの方式で生まれた。フィアットも1960〜70年代にかけては、「124」や「131」「X1/9」など開発コードをそのまま使った車種が多かった。

こちらもモデルチェンジで数字を変えない例がある。よく知られているのがポルシェ「911」で、もともと開発コードは901だったが、プジョーが商標登録していたので911になり、その後のモデルチェンジでコードが930、964と変わったあとも911であり続け、現在に至る。

モデルチェンジのたびに車名が変わるのはユーザーにとってわかりにくいし、逆に数字をブランドとして育てていこうという判断かもしれない。そのためマニアの中には形式名で呼び分ける人もいる。数字がブランドになったという点では、フィアット500やアバルト124スパイダーも共通する。

トヨタ 2000GT(筆者撮影)

日本車では、モーターサイクルでは本田技研工業の「CB1100」やヤマハ発動機の「SR400」など、数字やアルファベットのみを使った車名が多く、クルマも昔はトヨタ自動車「2000GT」、スバル「360」など排気量をそのまま名前にした車種が存在していたが、今はレクサスを除くと単語による車名が一般的だ。

フォルクスワーゲン ゴルフ(筆者撮影)

海外にも単語を車名にしたブランドはいくつか存在する。「ゴルフ」や「ポロ」を擁するフォルクスワーゲンをはじめ、アルファ・ロメオ、ジープ、ミニ、ルノーなどが該当する。

ポルシェも911に続いてボクスターとケイマンに718という数字を与えたが、現行型の開発コードは982であり、1950年代のレーシングカー718/1500RSKスパイダーの開発コードを、同じミッドシップということで転用したものだ。それに「カイエン」や「パナメーラ」など、スポーツカー以外は単語による名前としている。

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