ラスベガスのカジノ王が「大阪」にこだわるわけ IR世界大手がぶち上げた最大1兆円投資計画

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――現在禁止されているカジノが含まれるIRは日本人にとって未知の存在です。以前からムーレンCEOは日本に「IRとは何かを伝える必要がある」と主張していますね。

日本人のIRへの懸念は非常に真っ当で理解できる。ギャンブル依存症対策は、非常に真剣に取り組まなくてはいけない。日本政府もギャンブル依存症対策基本法の施行などの行動を起こしている。業界のリーダーであるMGMにも、節度や責任を持ったカジノの情報提供が求められている。

ただ、IRは日本のすばらしい芸術やエンターテイメント、おもてなしやテクノロジーと、海外のエンターテイメントや大規模なMICE施設、ホテル、飲食店などを融合させる多目的な開発だ。

とくにMGMがラスベガスで持っている30万平方メートルのMICE施設には、世界的な大手企業から年間何百万もの人が訪れている。大阪でも大規模なMICE施設を作る予定で、大阪をアジアのMICEの首都にしたい。

カジノとカジノ以外のシナジーが重要

――とはいえ、2019年2月の大阪府・市によるIR基本構想案では、年間想定売上高4800億円のうち、カジノは3800億円と見込んでいます。カジノの占める面積の上限は3%だと国などは言いますが、IRの主役はカジノなのではありませんか。

MGMがラスベガスで運営するカジノリゾート「マンダレイ・ベイ」(編集部撮影)

カジノは経済的なエンジンという意味では非常に重要だ。やはり、カジノを通してお客様を誘致できるので、それがあるからこそ非ゲーミングの部分の多様性を実現できる側面はある。

ただ、重要なのは非ゲーミングとゲーミングの部分のシナジー効果だ。MGMのラスベガスにおけるIR運営実績をみると、収益の65%が非ゲーミングで、ゲーミングは35%にとどまる。カジノはビジネスとして重要ではあるが、IRはカジノだけではない。

――大阪の予想だと、少なくともオープン時はカジノの売り上げが大きな部分を占めます。ラスベガスのように非ゲーミング比率を引き上げていくには何が重要ですか。

私がラスベガスに移住した21年前、当時は収益の65%がゲーミング、35%が非ゲーミングだったが、この20年間で割合が逆転した。重要なのは非ゲーミングで、施設の多様性を実現し、進化していくことだ。この非ゲーミング部門がMGMの最大の強みで、ラスベガスでも多様化を実現したことで幅広い客層を誘致できるようになった。

例えば、シルク・ドゥ・ソレイユ、ブルーマングループ、ジャバウォッキーズといった海外のパフォーマーと、能や歌舞伎を組み合わせることで、大阪でも世界トップクラスのエンターテイメントと日本のローカルなそれを融合させることができる。

(すでに人気の高い)ラスベガスやマカオ、シンガポールのIRで人気のあるテーマやデザインを日本にそのまま持ってきてしまったら、大きな機会損失だ。日本は非常に美しい国で、豊かな歴史・文化があるため、それらを生かせば、大阪のIRは世界的に見ても非ゲーミング収益が最も多いIRとなる可能性がある。大阪も最初はゲーミングの収益が多くなるかもしれないが、それは驚くことではない。

森田 宗一郎 東洋経済 記者

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もりた そういちろう / Soichiro Morita

2018年4月、東洋経済新報社入社。ITや広告・マーケティング、アニメ・出版業界を担当。過去の担当特集は「サイバーエージェント ポスト藤田時代の茨道」「マイクロソフト AI革命の深層」「CCC 平成のエンタメ王が陥った窮地」「アニメ 熱狂のカラクリ」「氾濫するPR」など。

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