ラスベガスのカジノ王が「大阪」にこだわるわけ IR世界大手がぶち上げた最大1兆円投資計画

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ーー仮にMGMが大阪で運営権を勝ち取ったとき、大阪で実際に開業するまでにどれほど時間がかかると見込んでいますか。

大阪による運営事業者の選定は今年から来年にかけて行われる見込みだ。大阪からは、2020年の夏ごろまでには事業者を選定したいと聞いている。その後、国による認定地はどこになり、いつ開業するのかを決めるプロセスは、いずれ日本政府が発表するだろう。場所や(開業の)スケジュールが定まるのは2020年末から2021年にかけてではないか。

最大1兆円を投資、9万人の雇用を創出

――大阪での運営権を狙う競合企業と比べて、MGMはどの点が強みなのですか。

「ここ3年で30回ほど大阪を訪れた」と語るMGMのジム・ムーレンCEO(写真:尾形文繁)

MGMは世界最大のエンターテイメント企業の1つで、コンサートやスポーツイベントの主催者としても有名だ。例えばレディー・ガガやブルーノ・マーズ、エアロスミスのコンサートの多くはMGMの施設で開催されている。

プロホッケーやボクシングも、主要な試合はMGMの施設で行われ、昨年は日本のプロボクサー、村田諒太選手も来た。大阪でもぜひ、そういったイベントを開催したい。

われわれと競合の違いは、大阪IRを日本全国と統合するビジョンだ。他社はビジネスをIR内で収めようとしているが、私たちは決してそうではない。多くの訪日客は東京や大阪、京都でとどまっているが、日本中の飲食店や文化遺産、季節ごとのお祭りなどの情報を提供することで訪日客のリピートを促したい。

また、MGMはつねに地元企業といいパートナーシップを組んでおり、大阪ではオリックスがそれにあたる。大阪にオフィスを構え、私自身もここ3年で30回ほど大阪を訪れた。

――経済効果はどれだけ見込めるのですか。

大阪による経済効果の調査では、IRを目的とした訪問客は約2000万人で、そのうち訪日外国人は約700万人と見込んでいる。これだけの人が関西を訪問することは、地域全体への大きな波及効果となる。

また、パートナーのオリックスを通して、中小企業との連携も重視している。地元中小企業のデータベースを構築し、できるだけ関西企業と連携していく。さまざまな施設の建設費で、最大1兆円を投資したい。(大阪の調査では)大阪は約9万人の雇用が創出されると推計している。

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