開業目前、「相鉄・JR直通」ダイヤ作成の舞台裏

11月末開業、海老名―新宿で試運転が佳境に

鉄道・運輸機構は、今回の相鉄・JR直通線の利用を1日7万人と想定する。相鉄の年間輸送人員は約2.3億人、1日平均63万人なので、その11%に当たる。相鉄ではこの数字について2019・20年度に80%、2021年度は90%で、2022年度に100%になると予想している。さらに東急直通線の開業時には26.4万人(機構発表の数値)に激増すると見込む。また、羽沢横浜国大駅の利用は開業時に1日約1万人、東急直通時には約1.6万人と予測(相鉄)する。

相鉄のかしわ台車両センターに取り込んで社員研修に供されているJRのE233系(撮影:久保田 敦)

こうして相鉄・JR直通線に多くの利用を期する一方、横浜エリアの輸送をおろそかにはできない。相鉄においてはそれが最大の課題となった。横浜は相鉄にとって基盤といえる土地であり、ターミナルを構える西口開発も盛んに行ってきた。そこで横浜をどう捉え直すべきかは、鉄道だけでなくグループ全体で検討した。その答えの1つが通勤特急と通勤急行であった。

また、朝ラッシュ時の二俣川―横浜間は1時間に28本で増発は困難なので、都心直通列車分は西谷から相鉄線を抜けるが、日中以後は相鉄・JR直通列車の追加のほか、本線、いずみ野線の本数を調整し、利便性を維持する。

「横浜方面の利用が減少するのは確かですが、朝は直通線経由でも帰宅時や週末には横浜に行く人も多いはずです。グループ全体、さらにはさまざまな関係者とエリアマネジメントの組織を作り横浜西口の魅力の創出に取り組んでゆきます」と言う。

日中の本数が毎時2本にとどまる理由

なお、改良された西谷駅の線路配置は、横浜方面の列車が直通列車の進路に支障を来すことなく引上線に出入りできる構造で作られた。すなわち東急直通線が完成して直通列車が大幅に増加した後は、横浜方面は西谷折り返しの区間列車を考えている、と想像できる。

ただし、今回のJR直通のみの段階では西谷折り返しはない。 JR線内のダイヤは平面交差や武蔵小杉がカギ。直通列車を受け入れる側のJR東日本では、ダイヤ構成の難しさをもう少し詳しく聞いた。

「日中毎時2本のいちばんの理由は、横須賀線と湘南新宿ラインがすでに各4本ありますから、相鉄直通を3本、4本とすると、武蔵小杉から都心方面で供給オーバーになってしまう点です。物理的には朝ラッシュ時の本数に比べて少ないですから、ダイヤが入らないことはない。とは言っても、各線のバランスを調整しながら新たな列車を入れるのは、2本といえども簡単ではありません」

貨物列車には、その列車が遅れた際に旅客ダイヤを傷つけないよう、後ろにずらした予備のダイヤが用意されている。それを含めると、羽沢横浜国大駅の場面では列車が少ない時間帯でも1時間あたり3~5本の貨物ダイヤが引かれている。加減速力がまったく異なるそれらの中に電車を入れることは、旅客線にダイヤを引くのとわけが違う。

また、全国各地や京浜の臨海部に集散する貨物の中枢部であるため関係線区が多く、方向によって平面交差となるルートが多数ある。そして旅客・貨物とも多岐の路線に係る“足の長い”列車のため、時刻を1つずらすと先々の線区まで影響が波及していってしまう、という悩みを、パターンダイヤではない中で逐一解決してゆく必要があった。

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