日本人を直撃する「人口急減」の切実すぎる未来 出生数90万人割れの衝撃から何が見えるか

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団塊ジュニアとは、戦後すぐに生まれた1947年から49年までの「団塊世代」の子どもたちを示す言葉だ。狭義には1971年から1974年の3年間に生まれた世代で、第2次ベビーブーム世代とも言われる。ピークとなった1973年には年間で210万人が誕生している。

団塊世代のピークとなった1949年には270万人が生まれており、そこまで到達しなかったものの、団塊ジュニアの存在は大きな注目を集めた。団塊世代のように、新しい価値観や消費を創出してくれる世代になるのではないかと期待されたのだ。

ちなみに、広い意味では1970年代に生まれた人を総称して団塊ジュニアと呼ぶ場合もあり、就職氷河期世代の一角を担っているという捉え方もある。

その団塊ジュニアのトップランナーである1971年生まれも、2019年には48歳。1974年生まれの団塊ジュニア最後の世代も45歳。一般的には、40代前半までが出産適齢期と言われている。以前から、団塊ジュニアがそれを過ぎた後の人口減少が心配されていたが、ここに来ていよいよ出生数の減少という形になって表れたと言える。

第3次ベビーブームは幻に終わった

日本の合計特殊出生率は、2005年の1.26人を最低に少しずつ改善され、3年前には1.45人にまで上昇。その原動力となったのは団塊ジュニアとされている。しかし、ピーク後の3年間は下落を続けており2018年には1.42人にまで下落した。

実際のところ、団塊ジュニア後の出産適齢期を迎える女性人口は大きく減少している(2018年10月1日、人口推計より)。

●40歳代 …… 907万人
●30歳代 …… 696万人
●20歳代 …… 578万人

出生数が100万人を割ったのは2016年。厚生労働省の推計では、その後2021年に90万人を割り込むとみていた。それが2年前倒しで90万人割れしたわけだ。日本の人口減少に拍車がかかるのは避けられない状況と言っていい。

期待された第3次ベビーブームは、産業界や広告代理店、メディアなどが期待してさまざまなイベントやキャンペーンを仕掛けたものの、空振りに終わったことは周知のとおりだ。

バブル崩壊後の失われた20年に差し掛かり、20代の結婚適齢期にいた団塊ジュニアは、経済的な問題から「結婚できない」「結婚しても子どもをつくらない」もしくは「産んでも1人」と言った状況となり、第3次ベビーブームは幻となってしまった。

この幻と終わった第3次ベビーブームが、現在の日本の少子化の最大の要因であると分析する人も多い。

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