エコカー補助金「不発」のおそれ、交付実績たったの1割

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「処理が遅いというおしかりは承知している。当初は到着順に審査していたが、問題ない書類は先に通すよう処理方法を変更した。要員も1.5倍に増やした」と説明するセンターは、想像以上にずさんな申請書類が大量に届いているとも言う。「振込口座の記入に不備がある書類が全体の1割もある。エコカーの対象にならない車を購入したのに申請したり、中には白紙のまま送ってくるケースまである」(センター)。準備不足と意思疎通の目詰まりが露呈している形だ。

無用な混乱も

補助金制度は来年3月末で終わる。消化率が非公開だったため、販売現場には「年末にも予算を使い切るのでは」という疑心暗鬼が生じていた。その結果、「補助金が出るうちに買ったほうがいい」というセールストークがはびこる一方、「いつもらえるかもしれない補助金は当てにならないからと購入を断られる」(冒頭の販売店社長)など無用な混乱を招いている。

今のペースが続けば、全額を使い切れずに期限を迎えることになる。足りなくなるよりはましかもしれないが、そもそもこの制度は環境車への買い替えを誘導する景気刺激策だったはず。“余り”が多ければ、政策として十分な成果を上げられなかったことを意味する。

9月の国内新車販売台数は0.2%増と14カ月ぶりに前年を上回った。ただ補助金制度の機能不全が放置されるようなら、ほんの束の間の回復にとどまらざるをえない。

高橋 由里 東洋経済 記者

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たかはし ゆり / Yuri Takahashi

早稲田大学政治経済学部卒業後、東洋経済新報社に入社。自動車、航空、医薬品業界などを担当しながら、主に『週刊東洋経済』編集部でさまざまなテーマの特集を作ってきた。2014年~2016年まで『週刊東洋経済』編集長。現在は出版局で書籍の編集を行っている。

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