今回の景気基調判断「悪化」からの脱出は困難 雇用指標の悪化は明確な景気後退のサイン

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また、有効求人倍率は上昇しにくいだけでなく、一段と低下する可能性が高い。有効求人倍率を職業別でみると、製造業と関連の深い「生産工程の職業」の低下が著しい。米中貿易戦争を背景としたグローバルな貿易や生産の減少が要因とみられ、当面はこの傾向が続きそうだ。

有効求人数に先行する新規求人数についても、製造業の減少が目立っている。また、製造業と同様に低下幅が大きい「サービス業」(宿泊業・飲食サービス業、生活関連サービス業・娯楽業などが含まれる)についても、製造業由来の求人の減少が背景にあるとみられる。

「サービス業」のうち、人手不足問題が残る宿泊業・飲食サービス業などの業種の求人数は減っていないが、労働者派遣業を含むその他のサービス業では求人が減少している。「生産工程の職業」と関連の深い期間工などのニーズの低下が、労働者派遣業の求人減少につながっているとみられる。派遣労働者の減少は、景気後退期の初期によくみられる傾向であるため、今後の労働市場の動向には注意が必要である。

「3つのD」から見ても、すでに景気後退期入り

最後に、景気拡張・後退の判断基準となる「3つのD」(景気の波及度=Diffusion、景気の量的な変化=Depth、景気悪化の期間=Duration)に照らして判断をしてみよう。以下では、この「3つのD」の現状を確認する。いずれの条件もあと少しで景気後退の要件が満たされるというところまで来ており、事後的に景気後退期に入ったとみなされる可能性はかなり高くなっている。

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