消費増税された庶民が知らない法人税の不合理

大企業ほど税金を払わなくてすむカラクリ

税制ギャップが生じるのは、企業による「タックス・シェルター」(課税ベースの隠れ家)の利用も一因です。

もともと「タックス・シェルター」とは、富裕層を対象とした課税逃れの金融商品のことを指していました。単体の商品で近年、話題になったタックス・シェルターといえば、国税庁ににらまれて販売中止へ追い込まれた「節税保険」でしょう。

法人向けの「課税逃れ」の手口

これは主に中小企業の経営者・役員を対象にした保険で、会社が契約者となります。その場合、支払う保険料の全額、または一部を損金として扱えるので、課税対象となる額を減らすことができます。

具体的に仕組みを説明しましょう。高額な保険料を支払う保険商品を契約して、その保険料を損金に計上し、事業から得た利益を相殺すれば、課税ベースを縮小することができます。

それに加えて、退職慰労金の支払いなど、大きな支出があるときに保険を解約すれば、返戻金(期間中に解約すると戻ってくる額)と、その大きな支出が相殺されるので、そのときも課税ベースを小さくできるのです。

これ以外にも不動産売買や設備リース、複雑な金融商品を利用するなど、タックス・シェルターにはさまざまな商品がありますが、基本メカニズムは同じで、課税制度のさまざまな差異を利用して、納税額の減少を図ろうとするものです。これは租税裁定取引(tax arbitrage)といわれます。

当初は個人向け商品だったタックス・シェルターですが、1990年代から法人向けへと移行し、現在では、個々の商品にとどまらず、利益の付け替えや人為的な損失の発生など、課税を逃れるためのスキーム一式をタックス・シェルターと呼ぶようになっています。

そのスキームは多様化しており、同じ企業グループ内で国境を越えた取引を行うことで所得を軽課税国へ移す「移転価格操作」や、税に関する国同士の取り決めである租税条約の隙間を狙う「トリーティ・ショッピング」(条約あさり)、増資の際に株式発行より借り入れを増やして損金を多く算入する「過少資本」など、さまざまな手口があります。

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