「冷却期間を置いて話し合わないか」と懇願したが、「結婚はやめたい」の一点張り。ついには婚約破棄を認めない祐一の元に、智代側が立てた弁護士がやってきた。
「向こうが弁護士を立ててきたのなら、こちらも弁護士を立てて応戦したかったけれど、僕にはそんなお金もなかった。向こうの弁護士が作ってきた書類にサインをして、この結婚は白紙になりました」
真剣交際に入るが、3度目の正直にはならず
2回の婚約破棄続きで傷心だった祐一は、たまたまこの連載を読み、私のところを訪ねてきて、婚活を再スタートさせた。
最初はお見合いをしてもうまくいかいことが続いていたが、1年が過ぎた頃、近藤珠江(仮名、38歳)と出会い、順調に関係を育み、結婚を視野に入れた真剣交際へと進んでいった。
そんなときに面談をしたのだが、祐一は結婚についてこんなことを言っていた。
「今度こそ結婚したいです。大学は工学部だったので周りにほとんど女性がいなかったし、食べていくのに精いっぱいで女の子とデートする余裕なんてなかった。35歳を過ぎて婚活を始めたら、2回も婚約破棄をされて。今回が3度目の正直になるといいですね」
ところが、そんな祐一の思いとは裏腹に、真剣交際に入った珠江との関係がだんだんと怪しくなっていった。
あるとき、珠江の相談室から私に連絡が入った。
「藤岡さんとの交際なんですが、ここでいったん終了にさせてもらえませんでしょうか?」
聞けば珠江の顔に粉瘤(ふんりゅう)ができて、そこにばい菌が入り、人前に出るのもはばかられる状態になってしまったとか。
「会社も、よくなるまではお休みをいただくことにしたようです。有休を使いきったら、辞めることも視野に入れています。『藤岡さんにも、この顔では会えない。いつ治るかわからないし、お待たせするのも申し訳ないから、ここで交際終了にしたい』と申しております」
そのことを祐一に伝えると、彼は言った。
「たとえ顔がひどい状態でも僕は気にならないし、せっかく関係をここまで築いてきたのだから、それを理由に交際終了にはしたくないです。僕を嫌いになったのではないのなら、よくなるまで待ちますよ」
こうして交際終了にはせずに、1カ月ほどメールのやり取りを続けていたようだが、珠江は体調もすぐれず、婚活にすっかり後ろ向きになってしまった。
ほぼ完治した後に1度食事をしたようだったが、それを最後に、珠江からは正式に“交際終了”がきた。
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