鉄道・バスの「いいとこ取り」、日立市BRTの実力 旧・日立電鉄の線路跡が専用道として再生
廃止された鉄道の遺伝子が、再び町に欠かせない交通機関に育ちつつある。
2019年4月1日、茨城県日立市の「ひたちBRT」が、第Ⅱ期区間である常陸多賀―大甕駅西口間の本格運行を開始した。ひたちBRTは、2005年に廃止された日立電鉄(常北太田―鮎川間)の廃線跡を活用したBRT(バス・ラピッド・トランジット:バス高速輸送機関)だ。BRTとは、専用道路や専用レーンを走行し、鉄道に準ずる高速輸送・定時運行性を実現した新交通システムのこと。
ひたちBRTは、日立電鉄の廃線跡の一部をバス専用道に転用し、渋滞に左右されない、高い定時運行性を備えた公共交通機関として登場した。
路線長の7割で日立電鉄の線路跡を活用
2013年に第Ⅰ期区間として大甕駅東口―おさかなセンター間3.2kmが開業。2018年3月には、第Ⅱ期区間として常陸多賀駅―大甕駅西口間が、一部一般道経由で先行開業した。2019年春の本格開業では、河原子―大甕駅西口―臨海工場西間のバス専用道が完成。常陸多賀駅―おさかなセンター間8.6kmのうち河原子―南部図書館(旧久慈浜駅)間6.1kmが専用道となった。
日立電鉄時代には河原子・大沼・水木・大甕・久慈浜の5駅しかなかった区間に、ひたちBRTは3倍近い14の乗降場を設定。きめ細かく停車し、かつ道路交通の状況に左右されずに定時運行できる態勢が整った。
「本格開業から3カ月間の平均利用者数は1977人。採算ラインの1日2400人にはまだ達していないが、まずは順調な滑り出し」
そう語るのは、日立市都市建設部新交通推進課の佐藤祐一課長だ。
「市民にも、時間どおりに来るBRTが徐々に周知されている。とくに、“ちん電”と呼ばれた日立電鉄時代を知っている方々から、歓迎されていると感じる」(佐藤氏)
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